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高知のレトロ自販機はパンも麵もプロのプライドが宿る自販機だった 美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2022年11月6日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食おじさんことマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回はいま人気沸騰中のレトロ自販機コーナー、高知市の「コインスナックプラザ」を訪ねてきました。

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大通りにぽつねんと、7坪ほどの自販機コーナーがある。

地方ではよく見かける光景である。

中に入ると、8台ほどの自販機がずらりと並んでいた。

その一つを見て目を丸くした。

「トーストサンド」とあるではないか。

隣には「うどんそば」、「ラーメン」が並んでいる。

「ラーメン」は、最近自販機が増え始めたのでわかる。

だが「トーストサンド」は見たことがない。

トーストならわかるが、サンドイッチである。

250円である。早速購入してみた。

自販機の中で音がし始めてから約数十秒、「トーストサンド」は現れた。

銀紙に包まれたそいつを剥がせば、まごうことなきハムが挟まれた、「トーストサンド」である。

中の構造が見たくて、失礼ながら開けてみた。

まずはハムトーストサンドからいってみた。

うむ。ハムが一枚。それにマヨネーズとバターか。

次にチーズトーストサンド。

チーズに、こちらもマヨネーズにバターか。

熱々にかじりつけば、ハムもチーズもマヨネーズたっぷりで、当然ながらうまい。

つまるところ、クロックムッシュではないか。

次にラーメン300円も購入してみた。

自販機とはいえ、300円でラーメンが食べられるなんて、日本はなんといい国だろう。

待つこと数十秒、湯気をのぼらせながら、ラーメンが登場した。

もやし、しなちく、ハム、ナルト、それにやわやわ中細麺といった構成である。

しかし、インスタント麺ではない生の麺はどうやって茹でているのだろう。

具の配置がキレイなのはなぜだろう。

中に人が入っているとしか思えない。

ラーメンに敬意を払って、太巻きといなり寿司のセットも買い、横に並べてみた。

隣の空き地から刺す陽光に照らされて、ラーメンがどこか自慢げである。

トーストサンドはおそらくチンして食べるのだろうが、このインスタント麺じゃない生の麺はどうやって茹でているのだろう。

そして、この特異な自販機コーナー「コインスナックランド」を作った人は、どうして始められたのだろう。

頭の中が疑問だらけになり、結果、オーナーの浜田さんにお話をお聞きすることができた。

「なぜこんな店を始められたのですか?」

ハハ、食うていくためよ。今から45年前に富士電気が自販機製造を始めていて、若気の至りで買ってリース業 をやりながら経営してました

「反響はどうでしたか?」

いやあ、全然儲からんで、後悔しちゅう

「その頃賑わっていたと聞いていますが」

暴走族の溜まり場になっちょって、人は寄り付かんし、ひとつも売れん。その頃は元気やったき続けられたけどね

「しかしトーストサンドとは珍しいですね」

45年前作った人の間違いだったんじゃないかね?だってその頃トーストらぁ食べる人なんかおらんし

「そうですか。でも美味しかったですよ」

あれはパン屋さんに作ってもらいゆうもんやきね

「ラーメンは、独自ですか?」

あれは横山麺業いうくに作ってもろうて、熱い香味油とスープ入れて完成するがよ

自販機といえど、投げやりではない。

パン屋や麵屋というプロの手を借りて成立した、どこにもない、プライドがある自販機なのである。

高知県高知市比島町3丁目「コインスナック プラザ」にて

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