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絶品いちご入りチャーシュー酢豚!餃子にギアラにピータンと大将おススメを食べつくす高知のキングオブ町中華「宝永」 美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2022年4月17日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、マッキー牧元さんが愛してやまない高知のキングオブ町中華「宝永」で対象のおススメを次々にいただいてきました。
※宝永は2022年6月閉店しました。

「レバニラ出来ますか?」

「ごめん、レバニラは明日なんだ」と、ご主人が言われた。

これが「宝永」を、キングオブ町中華と呼ぶゆえんである。

町中華ならどこにでもあるレバニラだが、「宝永」のご主人は、一週間の中で1日だけ、新鮮な牛レバーが入る日しかやらない。

焼売、餃子、炒飯、もやし炒め、酢豚、エビチリ、麻婆豆腐、中華飯、ラーメン、天津麺、あんかけ焼きそばと、他の町中華でもおなじみの料理だが、どれも具材や味付けに一工夫がある。

今夜もどれを食べようか悩んでいると、

「ピータン食べるかい?」と、ご主人が聞いてきた。

流石にピータンは他と同じでしょうから、違うかなとな思っていると、その様子を感じたらしく

「うちのは烏骨鶏のピータンだからおいしいよ」という。

ならばと頼むと、烏骨鶏のピータンのお姿は一般的なピータンと変わらない。

だが、違った。

白身に根性がある。

白身がプリンプリンと弾んで、噛む喜びがある。

烏骨鶏ピータンに喜んでいると、ご主人が言う。

「レバニラはないけど、ガツ炒めはできるよ。食べる?」

もちろんです。

だが、メニューのどこにも書かれていない。

ここが「宝永」の素晴らしきとこで、その日その日に裏メニューがあって、相談すれば出してくれる。

常連となれば、裏メニューを熟知していて、「今日はガツある?」なんて聞くのである。

さあガツ炒めが湯気をあげながら運ばれた。

ニンニク葉との炒めで、塩とスープだけで味をつけたという。

シャキッと音を立てるニンニク葉とクニュ、コリとしたガツの歯ごたえの対比がたまりません。

こりゃ食べ出したら止まらない。

内臓好きを感じたのだろう。ご主人がたたみかける。

「ギアラの冷たいの食べる?」と聞く。

「はいっ」と、大声で答えたもののギアラの冷たいのとはなんだろう。

牛の4番目の胃袋であるギアラは、脂が強い。

焼肉では、ある程度その脂を落として食べるのだが、冷たい場合は脂がくどくないか?

そう考えているうちに運ばれてきた。

茹でたギアラを細長く切り、タレであえ、リュウキュウ(ハスイモ)を添えてある。

食べれば、脂の甘さが広がって、思わず笑顔が出た。

酢醤油と胡麻油の味付けの塩梅が心憎く、こいつも箸が止まらない。

「シュウマイ食べるかい?」と聞かれたので、大きくうなづく。

シュウマイもメニューに書かれていない。

出来る日と出来ない日がある。

なんと季節は春、蕗の薹を混ぜ込んだ焼売であった。

頬張れば、春の香りが立つ。噛めば、春の苦味が広がる。

そのうえ皮がうまい。

皮自体にうっすらと旨味がしみていて、それが中の餡と相乗するので、もう何もつけずともいける。

「皮がうまい」と、ご主人に伝えると

「うちはお湯でなく、スープで蒸しているからね」と、嬉しそう。

では餃子も食べよう。

食べれば優しい甘みが滲み出てくる。

キャベツの甘みである。またそのことを伝えると

「他の店じゃ水分が出るからとキャベツを絞って入れるけど、うちは絞らないからね」と、またまた嬉しそう。

「酢豚をお願いします」と、頼めば

「前は普通の酢豚出したから、今夜はチャーシュー酢豚にしよう」。

そういって、チャーシューの塊を分厚く切り始めた。

炒める時に何やら赤いものを入れた。

あれはなんだと目を凝らしていると判明した。

いちごである。

「いちごを入れるんですか。パイナップルを入れるのは見たことありますが」

「季節だからね。酢豚には季節のものを入れるようにしてんだ」と、少し得意そう。

「いちご入れるときにはね、いちごジャムを入れる。そしてね、赤ピーマンと椎茸も衣つけて揚げる。これが大事」とは、

いや豚肉の塊でないチャーシューの柔らかさや、バラ肉の脂の甘みが溶け合う感じがよく、そこにイチゴの甘酸っぱさが加わって、実に楽しい酢豚である。

次は、メニュー名だけでは想像できない「ザーサイ炒め」を頼んでみた。

ザーサイ、ネギ、椎茸、豚肉細切りを炒め合わせた料理で、塩、スープ、醤油、極少量のオイスターソースで味付けをし、片栗粉でとろみをつけてある。

食べて大きくうなづく。

主役はザーサイである。

ザーサイのたくましい食感と淡い辛味が中心となって、それをネギや椎茸、豚肉が盛り立てている。

家で今度作ってみようと思うが、同じようにはできないだろうなあ。

いやあ、いろいろいただきました。

今日も様々な発見と教えをいただきました。

こんな店が何気なく街中にある。

ほんと高知の人が羨ましい。

ここの素晴らしきラーメンの話は、また後日。

高知県高知市廿代町「宝永」にて