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高知の人気フードコートでいただく美味なる地焼きのうなぎ「ひろめの鰻処 まん」 美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2022年3月13日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、高知の人気フードコート「ひろめ市場」で地焼きうなぎがいただける「ひろめの鰻処 まん」をご紹介します。

何気なく頼んだ「肝のタレ焼き」が運ばれてきて驚いた。

なんと四十匹分ほどの肝が、小鉢にこんもり盛られているではないか。

「すいません、日本酒はなにがありますか?」

この光景を見たら、昼でも飲まずにいられない。

しかもこんな時間に飲んでも、まったく気にならない、ここは飲兵衛天国「ひろめ市場」である。

肝の掃除を丹念にやられているのだろう。

えぐみも生臭みもない。

甘辛いタレの味から顔を出す、肝のほろ苦味が酒を呼ぶ。

思えば、高知の鰻屋を様々訪ねた。

このコラムでは、「かいだ屋」、「源内」、「かね春」、「鰻屋 成八」、「大正軒」、「うなぎ処 福」と、6軒の鰻屋をご紹介した。

今回は「ひろめ市場」にある鰻屋で、その名を「ひろめの鰻処 まん」という。

「ひろめ市場」といえば高知の大人気スポットで、うまい、安い、早いがモットーの飲食街である。

そんな中で高級食材うなぎが成立するのかと不安であったが、この肝料理で吹き飛んだ。

「ひろめ市場」らしい、サービス精神に富んだ一品ではないか。

続いて運ばれた香ばしい骨の素揚げ、「骨せんべい」をボリボリ齧りながら、うなぎを待つ。

頼んだのは、白焼きと蒲焼の両方が乗った豪勢なうな重「横綱うな重」4千円である。

うなぎは、高知田野町にあり、地元で取れたシラスウナギを地下水に放ち、独自餌にて約一年間育てた「西岡養鰻」の鰻であるという。

さあ、現れた。

片側にうっすらと焦げを作りながら焼かれた白焼き、もう片側には鼈甲色に艶やかに輝く蒲焼が、整然と並べられている。

どちらも焦げすぎたところはなく、美しい。

さあ、先ずは白焼きから行ってみようか。

塩とわさびをつけ、白焼きをかじる。

うん、香ばしい。

塩によって脂が甘く引き立てられ、そこをわさびが締める。

これは酒だな。

次に醤油とわさびをつけて白焼きを。

うん。醤油の旨味が加わって、これは大至急ご飯である。

すかさず掻き込めば、ご飯がまたいい。

甘みある米は、四万十大野見米を使っているという。

次に蒲焼もいってみる。

うん、タレの甘辛さもほどよく、うなぎの脂が溶けていく。

こいつはご飯と一緒に掻き込むのがいい。

ついでにいえば、蒲焼の腹側でなく、皮側を舌に当てた方が、よりうなぎの香りが立って美味しいぞ。

ここで山椒をはらりとかける。

地元高知の仁淀川山椒とのことで、青々しい山椒香りが一気に弾けた。

香りが溌剌としていて、実にこれがうなぎをいかすのだな。

肝がこれだけあると、遊びたくなる。

そこで、ご飯に山椒をかけ、肝、蒲焼と重ねて食べてみた。

この食べ方、オススメです。

うなぎの甘み、ご飯の甘み、肝のほろ苦さ、山椒の香りが渾然となる、より複雑な味わいに、笑ってしまう。

うまい、安い、早い。そしてつい飲みたくなるというひろめ市場の精神に乗っ取った、良き鰻屋である。

食後、店長の野村侑加さんに話を伺った。

彼女は、高知県人はうなぎ好きなのに、ひろめ市場に鰻屋がないことに気づき、会社の社長に提案して始めたという。

アイデア溢れるある彼女は、次々と面白い料理を考え出している。

飲みの締め用として「〆鰻茶漬け」680円を考え、夏にはそれを「氷茶漬け」で提供する。

さらにもっと手軽な締めとして、「高知のうなぎちょいうなぎ」 500円というミニうな丼も用意されている。

こりゃあ飲んだ後に食べたら、たまらんだろな。

「でもまだ鰻を「まん」と読むことを知っている人少なくて、まんじゅうやですかと、聞かれちゃうんです」。

いや、彼女のバイタリティとアイデアさえあれば、それもいつかは解消され、もっとうなぎを愛する人が増えるに違いない。

高知県高知市帯屋町2丁目 ひろめ市場内「ひろめの鰻処 まん」にて

 

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