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室戸の海沿いレストランでいただくスパイシーカレー&本格紅茶「シットロト」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2021年5月2日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食おじさんマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、高知県室戸市にある紅茶とスパイシーカレー「シットロト」にお邪魔した。

米、米、米、米。

高知県の東部、安田町で自然薯丼といなり寿司、北川村で田舎寿司、東洋町でこけら寿司、室戸岬で釜飯と、炭水化物を食べまくった一行は、一路西へと車を走らせる。

次の目標はカレー。

室戸の海沿いに建つ「シットロト」へと向かう。

変わった店名だが、これは室戸地方の伝統芸能で、魚の供養と豊漁を祈願して夏に行う舞踊だという。

カレーは五種類用意されている。

「阿波尾鶏の辛口カリー」、「豚バラとトマトのカリー」、「室戸ジオカリー(地元野菜)」、「スリランカ式カリー」、「タイ風シットロトカリー」である。

ううむ、もう腹一杯なはずなのに、メニュー名と説明書きを見ていたら、カレーが猛然と食べたくなってきた。

いわく「豚バラ肉を紅茶で煮込むことですっきりします。脂っぽくはありません」などと書かれているではないか

そそられちまう。

結局三種類も頼んでしまった。

カレーは、やはり別腹である。

まず豚バラが運ばれた。

ターメリックライスの横には、焦げ茶色のカリーの海が広がり、中央に豚バラの塊が鎮座している。

迫力がある。

食べれば、なんともうま味が太い。

一見なにげない、あっさりとしているようで、太い芯のようなコクがある。

聞けば、玉葱とイタリア産オーガニックトマトを5~7時間炒めて固まりになるまで加熱したら、ニンニクと生姜を入れ、それぞれのカリーに合わせたスパイスを入れて、煮込んだのだという。

奥底に大量の玉ねぎがもたらす、濃密な甘みがあり、トマトの旨みが相乗している。

そこに香り高いスパイスが漂うのだから、たまらない。

スプーンを持つ手が止まらなくなる。

続いて「スリランカ式カリー」が登場した。

こちらは鰹節の旨みが、絶妙に効いて、食欲を後押しする。

実はスリランカには、モルディブフィッシュと呼ばれる鰹節があり、料理に使われている。

鰹節文化は日本とスリランカだけなのである。

遠く離れたスリランカと、鰹節の名産地である高知が室戸でつながっている。

食文化の遠大に胸が熱くなった。

タイ風はどうだろう?

これはまた高知ならではのゆずが使われている点が面白い。

柑橘類でもゆずを使うと味が深くなるという。

その通りで、ココナッツの味わいが少し優美になった感じがある。

店主の山下裕さんは、カリー好きが高じてこの店を2001年に始めたという。

高知出身で、他の県で働いていたが、長男のため、いずれは帰らなくてはいけない。

なら、好きなカレー屋をやろうと始めたのだという。

カレー好きだと言っても、半端ない。

毎日トマトと玉ねぎを長時間炒めるのは、重労働だろう。

「ちょうど今作っていたんです」。

と、こげ茶より漆黒に近い塊を見せていただいた。

おそらく早朝から炒め続けていのに違いない。

しかし、カレールーを見せる山下さんの顔には、苦心の影は微塵もなく、作ることが嬉しいという喜びに満ちていた。

店内は人の家に招かれた暖かさがある。

それもカレー愛に満ちた山下さんの気持ちが溢れているからだろう。

実はこの店の名物はカレーだけではない。

紅茶が素晴らしい。

スリランカ紅茶はここから始まったという、ヌワラエリアの「キャンディ」というお茶をいただいた。

紅茶の産地としては、標高が最高地で作られているという。

ダージリンのようで、あっさりしている。

それがカレーを淀みなく流して、喉や胃袋をすっきりとさせ、また食欲をくすぐってくるのであった。

 

高知県室戸市元甲「シットロト」にて

 

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