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この情報は2021年4月15日時点の情報となります。
土佐藩出身の志士・坂本龍馬が生涯を終えた地である「京都」。
ゆかりの地ということで、土佐料理を味わえる店が多いのかと思いきや、実はそんなに多くはない。
今回紹介する店舗は、京都の烏丸御池の大通りから少し離れた、静かなところにある「土佐料理 心」。旅に出にくい昨今だが、ここでは高知への旅行気分が味わえる。
高知県土佐清水出身の店主 北山 慎弥さん。
京都へ来たきっかけは…
中学校の修学旅行で京都に来た際に、いつかまたここに来たいという思いをもち、17歳の時に高知を脱藩。料理をしたい!というわけではなかったそうだが、初めて働いたのが飲食店で次第に興味を持ち、29歳の時に独立して、この店を開いた。
北山さん:このあたりはチェーン店があまりなく、個人店が多いので、その店ごとの強みを出せたんです。独立の時に、京都に土佐料理のお店が少なかったのでやることにしました。
そう語る北山さん。料理には、自家製の「かつお焼きぎょうざ」や「かつおたたき」など高知らしいカツオメニューの他に、自身の出身である土佐清水のソウルフード「ぺら焼き」、「黄金焼き」も。
「ぺら焼き」は、小麦粉を水で溶いた生地に、刻んだじゃこ天と高知のやっこねぎを合わせ、その上に溶き卵を流して焼き上げる粉もん。
その名のとおりぺらっとした薄さながらふわふわで、まわりはカリッとした食感を楽しめる。カツオダシがしっかりと効いて、ついもう一切れ、と手をのばしたくなるおいしさだ。
北山さん曰く、「お好み焼きやたこ焼きの店があまりないので、おやつ感覚でよく食べました。すごく安かったんです。」
こちらは、ホタテの黄金焼き。
「本来は、カラフルな貝殻の長太郎貝(高知県での呼び名。一般名はヒオウギ貝)で作るんですが、こちらでは出回らないため、ホタテで作っています。」と北山さん。
土佐清水ならではの味噌やタルタルを混ぜた甘めのソースが味の決め手だという。
カツオの旨みを生かしたかつお焼きぎょうざは、ガツンとニンニクが効きながらも、大葉の風味がさわやか。高知県馬路村のポン酢をつければ、さらにさっぱりと食べられる。
「京都は『餃子の王将』発祥の地でもあり、餃子を食べる人が多いのでメニュー入りしました。」と北山さん。
肉は一切使用していないため、あっさりとしていて何個でも食べられそうな味わいだ。
-高知出身の方が多いわけではないですよね?
北山さん:少ないですね。高知料理ってどんなんだろうって食べにくる人や地元の人が多いです。
-特に人気のメニューはありますか。
北山さん:やっぱり、カツオのたたきが一番出ますね。その他、マンボウやうつぼなど、京都ではあまり食べられない食材も人気です。
名物のかつお塩タタキは必食。見よ!この艶。
カウンター席に座れば、炎を上げてカツオを炙っている様子を間近で見られる。
-魚はどこから仕入れるんですか。
北山さん:高知の室戸が中心です。出身の土佐清水などいろいろな場所を回ったんですが、室戸の魚が一番よかったんです。町の魚屋さんから仕入れています。
室戸といえば、室戸岬。奇岩や水平線を望む景色が美しいスポットだが、岸からすぐに海が深くなるという地形を生かした一大漁場である。
野菜以外はほぼ高知から仕入れるとあって、メニューにはクジラやウツボなど、高知の海の幸がズラリ。
地元では漁師さんが食べるという「まめ肝」など、珍しいクジラの部位も並ぶ。
店内を見渡すと、何やら標本のような気になるものを発見!
こちらは、「鯛の鯛(タイのタイ)」と呼ばれる、魚の胸びれとえらの間付近にある骨を抜き出したもの。
鯛に似た形をしているのが特徴で、高知で食べられる魚を展示しているのだとか。魚ごとに色や形が異なっていて、白いものは淡泊な味わいで、茶色いものは脂がのっている証だそう。
魚の大きさと骨の大きさが比例しているため、名前を知らない魚も標本を見ることで味や大きさを想像できるのがおもしろい。
カウンターとテーブル席。2階には座敷がある。
龍馬ゆかりの地ということで、京都には高知の心が根付いているのかもしれない。
龍馬ゆかりの地を巡った記事はこちら⇒ 寺田屋、酢屋に護国神社。坂本さんと巡る京都・坂本龍馬ゆかりの地
高知の日本酒で人気は龍馬ゆかりの・・・
京都の方にも高知と言えば日本酒!というイメージが強いという。
定番のお酒も充実。これに季節限定のお酒も時折、入荷するのだとか。
その中でも人気のお酒は、司牡丹の「船中八策」。坂本龍馬が江戸時代末期に起草した新国家体制の基本方針の名称のついたお酒ということで、ここでも龍馬パワーが発揮されている。
2020年3月には、同じく京都・大宮駅近くに「ラーメン心元(しんげん)」をオープンさせた北山さん。
-ラーメン店をやろうと思ったきっかけを教えてください。
北山さん:もともとラーメンが大好きで、いつかは自分で作ってみたいと思っていました。2018年に、15年ぐらい通っていたラーメン店『珍元』さんが店を閉めることになり、それならそこでやってみようと思ったのがきっかけです。お店の雰囲気はそのままですが、味は全然違うものを出しています。
-「心」でもラーメンを出していたんですよね。
北山さん:この店舗をオープンするにあたって、半年ほど、試作も兼ねてお昼に提供していました。今はラーメンを出しているのはこちらだけです。
-どんなラーメンを提供していますか?
北山さん:どこの地域のものとも違う、完全に自分好みのラーメンです。ラーメン激戦区である京都でいろいろなラーメン店に食べに行って、何度も試作しました。
「ラーメン心元」が店を構えるのは、阪急大宮駅から南に約10分、壬生川通沿い。
故・伊丹十三監督の映画「タンポポ」のモデルとされ、惜しまれつつも約40年の歴史に幕を下ろした「珍元」があった場所だ。
営業中の札には「珍元」の文字が刻まれている。
ラーメンのほか、タンメンなどがラインナップ。
「心」で出している一品が日替りで登場するので、ちょい呑みにも使えるのがうれしい。
カウンター席のみの店内には、珍元で使用されていた緑の看板が飾られるなど、かつての常連だった北山さんの思いが詰まっている。
看板メニューは、ラーメン 並¥700。早速実食させてもらった。
-背脂たっぷりでコクがあるのに、あっさりしていますね。
北山さん:高知の窪川ポーク米豚の背脂を使っているんですが、ブランド米・仁井田米を食べて育つため脂がしつこくないんです。チャーシューもこの豚の腕肉です。
-スープのベースはなんですか?
北山さん:窪川ポークと京都牛の骨のほか、鶏ガラを炊いています。合わせる煮干しダシには、高知・宿毛の煮干しを使っています。カエシは、高知特有の甘い醤油を使用したものです。
中太でもちもちした麺は、京都の老舗・近藤製麺のもの。まさに高知と京都のコラボラーメンだ。
最近人気だというのは、土佐にぼしタンメン 並¥800。
高知のラーメンに多いという、炒めた野菜とチャーシューをのせた一杯だ。こちらは宿毛の煮干し粉をたっぷりかけるため、より魚介風味を感じられる。
「京の都で土佐のこころ」。土佐清水のソウルフードのほか、餃子好きの京都人向けのメニューや京都の背脂文化を取り入れたラーメンなど、高知と京都のいいところを取り入れている「心」と「心元」。
京都で郷土・高知を広める北山さんは、熱い思いをもった土佐の人情味溢れる人だった。
土佐料理居酒屋 心(KOKORO)
住所:京都府京都市中京区三条町334
電話番号:075-741-7380
営業時間:18:00~0:00
定休日:日曜日
ラーメン心元
住所:京都府京都市中京区壬生相合町20-20
電話番号:なし
営業時間:11:00〜15:00、18:00〜22:00(夜は休業中)
定休日:日曜
※新型コロナウィルス感染症の影響により営業時間が変更になっている場合があります。
※本記事は、3月に取材した内容です。