起業・事業承継, 高知へ移住, 高知へ移転
【高知 就職・転職フェア2025冬】大阪・東京で最大規模の高知県U・Iターン就職相談会開催!大阪11/29(土)・東京11/30(日)
この情報は2025年10月12日時点の情報となります。

高知県民に「よく行くラーメン店は?」と質問すると、多くの方がこう答えるはずだ。
「地元にある豚太郎!」
県民で知らない人がほぼいないぐらい有名なチェーン店で、豚太郎本部のHPによると、現在県内で17店舗が営業している。

豚太郎はチェーン店でありながら、店のメニューは店舗ごとに大きく異なる。
「しお、しょうゆ、みそ」の三つのラーメンとギョウザだけが共通で、あとは各店舗が自由にメニューを考案するという形式だ。
そして、豚太郎と言えば「みそカツラーメン」!
みそラーメンにとんかつが乗っている、ボリューム&カロリーのインパクトが大のラーメンが有名。
こちらも串カツスタイルであったり、ひと口カツサイズだったりと、お店ごとの特色が出ている。
その他に、ニラ豚や唐揚げ、焼肉定食などラーメン以外のメニューが充実している店もあれば、ラーメンと炒飯、ギョウザなどのセットが豊富な店、量が「半端ない」店など、店舗によって全然違う品揃えになっている。だから、「あのメニューを食べたい」と思ったら、その店に行くしかない。
他の豚太郎では味わえないメニューが多々あるのだ。

今回の主人公、「豚太郎」須崎店も、他店では味わえないメニューを幾つも持っている地元の人気店。店主の梶原剛(つよし)さん(56)が、35歳の時に脱サラして、前店主から豚太郎を引き継いだ。
「全国規模の金融関係の仕事に就いていたんですが、転勤が多く、脱サラしてラーメン店をやろうと考えていました。その時に、この店の引継ぎの話があり素人同然で飛び込んだんです」
給料なしで店に入り、前店主から特訓を受け、味を引き継いだ。
従業員も残ってくれたので、色々と教えてもらいながら、軌道に乗せていった。
引継いだ味を大事にしたのはもちろんだが、自身でも独自メニューを沢山開発した。
全メニューの半分以上は梶原さんになってからの新メニュー。「うめラーメン」や「汁無し担々麺」などは、梶原さんの代になってからラインナップに加わった。

ラーメン以外のサイドメニューも豊富。30種類以上がお品書きに書かれており、その多くは梶原さんが始めたものだ。
メニュー以外での客寄せの工夫も行った。
ユニークなのは、綿菓子を作る機械が店内に設置されていることだ。来店する子供たちに無料で作らせてあげているという。

「綿菓子デビューはうちの店、という須崎の子供は多いんですよ」と笑う。
受け継がれた豚太郎の味に、独自メニューが加わり、さらにお客さんの気持ちに寄り添った経営が評判を呼び、地元客を中心に今も多くの客が訪れる人気店となっている。
ところが、五十代半ばを過ぎ、長年の無理がたたって、手首や肘が悲鳴を上げてきた。
また、店の休日に手掛けていた不動産事業の規模が徐々に大きくなり、時間が足らなくなってきた。

「体調面もしんどくて、二足の草鞋を履く事が難しい状況になりました。かといって、急に閉めてしまうのは可愛がってくれている地元の皆さんに申し訳ない。だから、昔の私のように誰かに引き継いでもらいたいんです」

豚太郎の名前や味にこだわらず、ラーメン店の箱だけを受け継ぐという形式でも相談に乗るそうだが、「豚太郎」は高知県内でトップレベルの知名度を誇るだけに、須崎店をそのまま引き継ぐ形式の方が成功率は高そう。継業者が希望すれば、自分がしてもらったように、伴走して味を伝えるという。

須崎市は、全国的に有名なB級グルメ、「鍋焼きラーメン」の街であり、ラーメン文化の浸透率は高い。「鍋焼き」ではなく、「豚太郎」で市民に愛されている店を承継して、さらに飛躍させる。麺をゆでるお湯に負けない熱い志を持ち、前向きに走る若い力が求められている。
豚太郎 須崎店
高知県須崎市西糺町16-7

経営は上手く行っているのに、後継者がいないために廃業せざるを得ない――そんな悩みを持つ企業が全国的に激増し、大きな社会問題になっている。
高齢化先進県である高知県は全国に輪をかけて、事業承継の課題が山積している。
「県内での事業承継を少しでも増やしたい」。
このコーナーは、事業を譲りたい人と受け継ぎたい人を繋ぐ連載です。
高知県事業承継・引継ぎ支援センター
電話:088-802-6002)
メール:kochi-center@kochi-hikitsugi.go.jp
担当:谷、野本