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【高知グルメPro】作り手の人柄がにじむ香り高いうどんがいただける「さぬきうどん将元」食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2024年10月6日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチ、エスニック。スイーツにうどん、居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすフードジャーナリストのマッキー牧元さんが、高知の旨いお店や生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は高知県西部の宿毛市で香り高いうどんがいただける「さぬきうどん将元」にお邪魔してきました!

「いらっしゃい!」

店に入るなり、元気なおばちゃんたちから声がかかった。

ここは高知県西部の宿毛市でうどんを提供する「さぬきうどん将元」。

うどんを打つのは、店主の男性だが、うどんを作り、天ぷらを揚げ、会計なさるのは、3人の快活なおばちゃんたちである。

カウンターに近づくと「何食べる?あったかいの?冷たいの?」と、やさしい声で聞かれる。

何か親戚のおばちゃんの家に来たかのようで、心が温まる。

ここでも色々と注文した。

「釜玉ください」と頼むと、

「10分くらいかかるけど大丈夫?」と、聞いてくる。

「はい大丈夫です」と答えて、他のうどんをもらう。

品書きはすべて一玉と二玉の値段が表記されている。

例えば「かけうどん」一玉380円、二玉500円(かけ半というのもあって250円)、「ざるうどん」は、480円と600円である。

大食いの人は二玉がお値打ちである。

さあ、何から来るかとそわそわしていると、「ざるうどん」480円と「和風ぶっかけ」600円が運ばれてきた。

「ざるうどん」の艶々と輝くうどんをつけ汁につけて、勢いよくすする。

うむ、やはり一杯目はざるだな。

その店のうどんの性格が一番わかる。

噛むごとに甘みと香りが膨らんでいく。

一方「和風ぶっかけ」はいろんな具材が乗っていて、見た目にも楽しい。

「和風ぶっかけ」とは、大根おろしに椎茸の飴煮、蟹蒲鉾、海苔、たっぷりのネギ、天かすが乗っていて、いわゆる和風冷やし中華だな。

ここにキツネ、つまり油揚げ煮を参加させる。

椎茸とうどんを一緒にして食べる。

カニカマとうどんを一緒にして食べる。

大根おろしをからめてうどんを食べる。

海苔とうどんを一緒にして食べる。

いろいろ混ぜてとうどんを一緒にして食べる。

うん、これは楽しい。

いろいろな食感と味がうどんとからむのが、実に楽しい。

なかでも、椎茸とうどんを一緒にして食べるのがよかった。

甘い味付けとしなやかな椎茸が、うどんに甘えるようでおいしい。

お次はカレーうどんだ。

「懐かしい」。

一口すすってそう思った。

うどんはしっかりとしたコシがあるが、カレー汁がまろやかで懐かしさがある。

口当たりに角が無く、辛みも少ない。

昭和時代のカレーである。

懐かしい味である。

これにはゲソ天を合わせてみる。

周りカリッと中むっちりとしていて、思わず「好き!」と口ずさみたくなる。

カレー汁に少しつけて食べてもおいしいぞ。

最後に「時間かかるよ」と言われていた、釜揚げが運ばれた。

湯気を上げるお姿が艶やかである。

ここに生卵(20円安い!)を割り入れて、釜玉にしてみた。

醤油をちょいがけして、よくよく混ぜて食べれば、小麦の甘い香りが立ち上がる。

柔らかいが芯にほんのりとコシがあるのがいい。

卵の甘み、醤油の甘みとしょっぱさ、うどんの小麦の香りが混然一体となって、豊かな気分になる。

そこへ先ほどのゲソ天を食べる。

サクッと衣が弾けると、太い蛸の足にググッと歯が食い込んでいく。

そのたくましさが、釜玉の食感を一層膨らますのであった。

最後にご主人が、挨拶に出てきてくれた。

全身小麦粉まみれである。

顔も粉が散って白い。

「美味しかったです」というと、白くなった顔から白い歯を出して「ありがとうございます」と、恥ずかしそうに笑うのだった。

料理にはそれを作る人の人となりが出るのだ。

高知県宿毛市駅前町2-612「将元」にて