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【高知グルメPro】作り手の人柄がにじむ香り高いうどんがいただける「さぬきうどん将元」食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記
この情報は2024年9月8日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチ、エスニック。スイーツにうどん、居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすフードジャーナリストのマッキー牧元さんが、高知の旨いお店や生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。
メニューを開くと,
「みなさんの空腹を、食べたいものを、なんでも叶えます。受け止めます」
そんな意気込みが伝わってくる。
オムライスやスパゲッティ、エビフライやハンバーグなどの洋食メニュー。
ラーメンやちゃんぽん、焼き飯などの中華料理、握り寿司にうどん,蕎麦サンドイッチにステーキにスースリング焼肉定食。
刺身定食、鰻かばやき、天ぷらにカツ丼、牛丼、親子丼…。
約75種類の料理が、「さあ食べて、お腹いっぱい食べて」と、声高々に叫んでいる。
ここ、高知県西部の宿毛(すくも)市にあるレストラン「スワロー会館」は、まさに、なんでもありなのである。
「よっしゃ、その気持ち受け止めようじゃないの」。
我々も,その強い意思を受け止め,バラエティー豊かに料理を頼んでみた。
まずは、ケンボロー豚を使った「ケンボローカツ丼」である。
いい。
揚げたてのカツは、カリッと小気味良い音をたて、歯が入っていく。
丼つゆも甘すぎず、バランスがいい。
そしてなにより、肉が噛み締めがいがあって、柔らかいご飯との対比がおいしさを募らせる。
肉を食らっているという満足感が押し寄せるカツ丼なのであった。
次に中国料理で、「焼きめしラーメンセット」をいってみた。
ラーメンのスープは甘めで、昭和的懐かしさが漂う。
チャーシュー、すまき(高知のかまぼこの一種)、薄いしなちくという、具の配属もいい。
一方の焼きめしは、チャーハンではない。
すまき、玉ねぎ、ねぎ、人参が入って、焼きめしとしての本分を守り、醤油が焼けた香ばしさが食欲を誘う。
これまた昭和で、昭和の麺と飯が、おじさんの哀愁を誘うのであった。
次は洋食部門から、店名がついた「スワローランチ」をいってみた。
鳥足の唐揚げ、ハンバーグ、エビフライ、サラダ、ライス、ポタージュという布陣である。
鳥足の唐揚げは、ガリッと揚がった皮の香ばしさと食感がいい。
この皮の下から、食べ応えがある、むっちりとした肉が現れて、思わず笑顔を呼ぶんだな。
ハンバーグは柔らかく、子供が好きな肉肉しくないタイプである。
だから無性にご飯が恋しくなる。
そして、エビフライは偉大であった。
大きな海老で、存在感と甘さがある。
それにたっぷりとタルタルをつければ、再びご飯が恋しくなる。
この充実具合に、追加で「オムライスとハンバーグ」もいってみた。
やり過ぎだな、ハハハ。
予想通り大きなオムライスで、たっぷりとケチャップがかけられ、心を子供に戻してくれる。
〆は「スースリング焼肉定食」である(スースリングとは蓄熱性の高い鉄板)。
おろしニンニクを絡めた焼肉で、そこに甘辛いタレをかけて食べる。
これは最高の「ご飯進む君」である。
肉をかじってご飯をかき込むのもよし、ご飯の上に乗せて食べるのもよし。
いやあ、こうやってみんなで、単純な美味しさを享受、共有しつつ食べるご飯は楽しいなあ。
周りを見れば、家族連れが多い。
きっとこのあたりの家族は、家庭で行き詰まったり、困った時には、「スワローに行こう!」作戦をとるのかもしれない。
そうすれば、「わーい!やったあ!スワローだあ」的に、盛り上げがるに違いない。
地域家庭の円満を支えているレストランなのだろう。
聞けば、元々はドライブインで、結婚式場に発展し、このファミリーレストランになったのだという。
もう53年の歴史があるというから驚きである。
有名なファミリーレストランより歴史あるではないか。
しかもセントラルキッチンではなく、この場ですべて作られている。
聞けば、75種類の料理を、70席のお客さんたちに対して、実質3人だけで作っているのだという。
すごい能力である。
店名の由来を聞いた。
「みなさんから、ヤクルトスワローズのファンなのですか?そう聞かれますが違います。つばめが毎年同じところに戻ってきて巣を作るように、お客様にいつもここを愛して欲しい。先先代の初代がそれを願って作りました」。
53年間、多くのお客さんに愛されてきた理由は、ここにあったのである。
高知県宿毛市平田町戸内1717-2「スワロー会館」にて