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【高知グルメPro】創作と侮るなかれ!凄腕シェフのフレンチで過ごす優雅な夜「創作フレンチ 下元」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2024年3月24日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすフードジャーナリスト「美食おじさん」ことマッキー牧元さんが、高知の料理店・生産者さんをめぐる「高知満腹日記」。今回は100年以上の歴史と伝統を持つ「世界料理オリンピック」で受賞をされた凄腕シェフのいる「創作フレンチ 下元」にお邪魔してきました。

高知駅前から伸びる、高知市のメイン通りの電車道から少し入っただけの場所だというのに、住宅街のような静けさがある場所である。

その場所に店は、ひっそりと佇んでいた。

店の名前は「創作フレンチ下元」という。

「いらっしゃいませ」。

白を基調とした清潔感に富む店内に入ると、マダムが柔らかい声で出迎えてくれた。

高知市の城西館で料理長を務めた下元シェフが、2019年5月、62歳の時に開いた店だという。

客席から見える厨房では、シェフがお一人で料理を作られている。

4年に一度ドイツで行われる「世界料理オリンピック」という、100年以上の歴史と伝統を持つ世界最大規模の国際料理大会があるが、下元シェフは2000年大会に出場し、銅メダルを取られたのだという。

そんな凄腕シェフの料理だが、どれも「どうだすごいだろう」という料理人のエゴが出たものではなく、食材を思いやった優しい料理だった。

アミューズ「甘エビのタルタルガトー仕立て」が運ばれる。

苺色のトマトジュレの真ん中に、カブの薄切りで巻いた甘海老が座り、いちごとキャビアが飾られている。

どれも仕事が細かい。

トマトジュレの酸味によって甘海老の甘みが引き立てられる。

胃袋を刺激され、食欲が湧いてきた。

前菜は4種類の料理が盛り合わされている。

アトランティックサーモン自家製燻製、フランス産小鴨のローストオレンジ風味、自家製ブリオッシュに乗せたフォアグラのテリーヌとポルト酒のジュレとドライフルーツ、ハーブオイルで味付けしたエビのグリルである。

どれも緻密な仕事が宿っている。中でもサーモンフュメが素晴らしかった。

しっとりと脂が乗ったサーモンと柔らかな薫製香が重なって、優美な味わいを生み出している。

続いて魚料理が運ばれた。

「伊勢海老,ズワイの爪、帆立のナージユ仕立て サフラン風味」である。

ナージュ仕立てとは、「泳ぐ」という意味で、ソースとスープの間くらいの液体に食材を浮かべた料理を指す。

食べれば、どの魚介も火の通しが素晴らしい。

ふんわりとした食感の中から、それぞれの穏やかな甘みが滲み出る。

食べていると、気分が穏やかになっていくような料理である。

続いては、お口直しで「柚子のソルベ」が運ばれた。

爽やかな柚子の香りで、味覚をリフレッシュさせる。

そしていよいよ肉料理、「黒毛和牛のソテー  トリュフソース」が運ばれた。

ソースペリグーとは違うサラリとした味わいのソースで、和牛の柔らかい滋味をそっと持ち上げる。

何よりも、赤ワインが恋しくなるのがいい。

今回は一人でいただいたが、こういうフランス料理をいただくなら、二人がいい。

そう思わせる料理だった。

それこそ、フランス料理の精神である。

創作と店名の前についているが、イノベーティブな料理ではなく、フレンチのエスプリをわきまえた、クラシックな料理である。

最後はデセールを一人でカラメルアイス、マンゴーのムース、ガトーショコラを頬張りながら、あたかも目の前に麗しき女性がいるかのような夢想をしながら、優雅な夜を締め括った。

高知県高知市はりまや町2丁目3-15「創作フレンチ 下元」にて

営業時間 :ランチ11:30〜14:30 ディナー18:00〜21:30
※ディナータイムは前日までお電話にてご予約のみ
TEL:088-881-4515
定休日: 第1・3 火曜日・毎水曜日