グルメ
【高知グルメPro】地元愛されイタリアンから人気の和食屋に夜の〆の屋台餃子までそろう「廿代町」のおススメグルメ6選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2024年3月10日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすフードジャーナリスト「美食おじさん」ことマッキー牧元さんが、高知の料理店・生産者さんをめぐる「高知満腹日記」。今回は高知市の人気フレンチ「Étonné(エトネ)」でランチ3品をいただいてきました。
青空の下、白い木製の壁が輝いて、ヒュッテのようだった。
この場所だけ、爽やかな風が吹いている。
もう入る前から心地よい。
店に入れば高い天井の下、満席のお客さんがランチを楽しむ、美味しい賑わいが響いていた。
フランチレストラン「Étonné」は、高知市内から少し離れた住宅街にある。
店主の浅石 洋祐さん(写真・右)は、栃木県の名店「オトワレストラン」出身で、シェフの右腕であるスーシェフも同じ店の出身だという。
「高知出身なんですか」と聞くと、
「いえ秋田です。妻が高知で実家に帰るたびに素敵な場所だなぁと思っていて、ついに二年前、ここで店を開きました」
そう爽やかな笑顔で答えられた。
高知あるあるである。
奥さんの関係で、高知に魅せられた人に何人も会ってきた。
都会暮らしもいい。
でも高知には、人間らしいのんびりとした時間が流れ、人が懐っこく、明るい。
そんな環境を、心が真っ直ぐな人は気がつくのだろう。
さて、料理は何を頼もうか。
せっかくだ、ランチメニューの3品、全部いただいてみよう。
「鮮魚のポワレ エッグベネディクト風」2000円、「豚ヒレ肉のロースト キャベツのブレゼマッシュルームソース」2000円、 フランス人が大好きな「ステックフリット 牛肉ロースのステーキとジャガイモのフリット」2200円を頼んだ。
全てに 前菜盛り合わせと、食後の飲みものがつく。
これは、かなりお値打ちである。
前菜盛り合わせが運ばれた。
その姿を見た瞬間に、昼だからやめておこうと思っていたタガが外れた。
「すいません、白ワインをください」
そう、フランス料理はこうでなくちゃ行けない。
ラインナップは、練り肉の旨味に富んだパテアンクルート、淡い旨味が舌にのってくる平すずきカルパッチョ。
心がほっこりと温められる、白インゲン豆と野菜のポタージュ。
ヴィネグレットの酸味がきっちりと立った、インゲンのサラダ。
焼いた里芋に惚れる、里芋と玉ねぎのリヨン風。
芋の甘みに微笑む、紅芋サラダ。
どれも味が、ピタリと決まっている。
さあ、次は「鮮魚のポワレ エッグベネディクト風」が運ばれた。
面白い。
キャベツの蒸し煮の上に、分厚い白身魚のポワレが置かれ、その上にポーチドエッグが置かれ、バター系のヴァンブランソースがかけられている。
ポーチドエッグにナイフを刺せば、黄身がとろりと流れ出てソースと混じり合った。
魚でソースをたっぷりとからめ口に運ぶ。
ああ、これも大至急、白ワインである。
次が「豚ヒレ肉のロースト キャベツのブレゼ マッシュルームソース」。
これまたフランス人が好きなブランケットで、クリームソースがたっぷり添えられる。
豚肉の焼きがいい。
一面ロゼ色で、噛めば甘いエキスがにじみ出る。
そこへマッシュルームの旨味とクリームのコクが加わって、こいつも大至急白ワインだろう。
さあ、最後は「ステックフリット」である。
150gはあろうかという肉が香ばしく焼かれ、脇にはフライドポテトが控えている。
うむ、肉汁滴る牛肉を噛み締めコーフンしながら、時折甘いポテトでコーフンをおさめ、再び肉へ向かう。
そこには、食べるというより食らうといったほうがいい熱があって、次第に体が上気していく。
これはもちろん赤ワインだね。
ランチにはついていないけど、やはり最後はデセール(デザート)で締めたい。
「ヌガーグラッセ」と、
「バナナのクラフティ いちごソルベ添え」を頼み、正当フランス料理のデジュネ(昼食)を締めくくった。
最後に店名の由来を聞いてみた。
「奥さんの名前に“ね”がつくので、最後に“ね”がつく名前がいいなと思い、驚きを意味するフランス語 Étonné にしたんです」。
奥様への愛に溢れる話を聞きながら、また驚きのある料理をいただきに来たい。
今度は、夜にお邪魔しますね。
高知県高知市南万々10-1「Étonné(エトネ)」にて