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【高知グルメPro】地元愛されイタリアンから人気の和食屋に夜の〆の屋台餃子までそろう「廿代町」のおススメグルメ6選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2024年2月4日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことマッキー牧元さんが、高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回はなぜお店を始めたのか忘れちゃったうどん屋さん「土佐うどん まるかや」にお邪魔してきました。
高知のうどん屋は、もう行き尽くした。
勝手にそう思っていたけど、まだ知らないうどん屋あったんだね。
やはり、高知のうどんシーンは深い。
訪れたのは高知市朝倉横町にある、うどん屋「まるかや」である。
店に入ると、若い店主とサービスの女性の2人でやられていた。
温かいうどんは、つゆ系と釜あげ、つけめん。
冷たいうどんは、ぶっかけ、醤油と、ざるである。
店名から推察するに、博多には「◯加」、香川には「丸香」があることから,博多系か香川系か。
だが、品書を見ている限りでは、わからない。
その中で面白いものを見つけた。
米粉うどんである。
全国のうどん屋を巡っているが、米粉で打たれたうどんを出す店は、非常に珍しい。
そこで「きつねうどん(米粉で)」、「ざるうどん」、「カレーつけ麺」、「ぶっかけ」、「ごぼ天うどん」を頼む。
そしてトッピングでこれまた珍しい「ぬた」をお願いした。
「ぬた」とは、高知県人にはおなじみのにんにく葉をすりつぶしたペーストである。
だがここは、にんにく葉ではなくニラを使っているという。
「ざる」が運ばれた。
何よりうどんの実力と個性は、ざるが一番わかりやすい。
おお、これはコシがたくましい。
40回弱噛んでようやく喉に消えていく。
これはやはり、さぬき系か。
次に運ばれたのが米粉のきつねうどんである。
うどんを持ち上げると、湯気が立ち上って、その中でうどんの艶が輝いている。
思わずつばを飲み、うどんをすする。
小麦粉で打った麺よりコシは柔らかい。
だが温かいうどんなのに、30回ほど噛ませる。
米のうっすらとした甘みが旨味の深いつゆと合い、そのつゆをたっぷりと吸ったお揚げとも良き相性を見せる。
次は「カレーつけ麺」である。
熱々のカレー汁に、冷たいうどんをつけて食べようっていう寸法である。
これはカレーがいい。
スパイシーさの奥に、やさしいうま味が満ちていて、しみじみとうまい。
そんな熱々のカレー汁に冷たいうどんをたっぷりとつけて、すすり込む。
すると程よい温度となって、うどんをすする箸を持つ手が止まらなくなる。
次に名物だという「ごぼう天うどん」が運ばれた。
おお、丼の上にはごぼう天が9本そびえ立っているではないか。
一本ずつかじっては、うどんをすする。
ごぼうの土の香りが、気分を穏やかにし、滋味深いつゆを高めていく。
これは良いうどんだなあ。
さあ、お次は、ぬたを従えたぶっかけうどんである。
つゆをぶっかけて、まずシンプルなぶっかけうどんの味を楽しみ、次にぬたをうどんに、よくよく混ぜ込んでみた。
ははは!コレは和製ジェノベーゼである。
ずるるっとうどんをすすった瞬間に、爽やかな香りが鼻に抜けていく。
揚げ玉を加えてみると、これまた食感が楽しく、病みつきになる。
こいつは夏にも食べたいうどんだな。
上質なつゆといい、ぬたや米粉のアイデアといい、他とは違うごぼう天の出来といい、うどんのコシといい、これは相当うどん愛に満ちた人に違いない。
そう思って、うどん屋を始めた理由をご主人の加志﨑 健太さんに聞いた。
「なんで始めたんだろうな」。
いきなり肩透かしを喰らった。
開店は去年7月だという。
店名は、自分の名前から取ったそうで、香川とも博多とも関係ない。
うどんは、独学だそうである。
ご主人は、父親と近所で居酒屋をやられていたという。
「昼の店がやりたくて、色々業種を考えたんですが、うどんがしっくりきたのが、始めた理由かな」。
そんな軽い動機で、ここまで素晴らしいうどんができてしまうのか。
つゆの素晴らしさを褒めると、なにげに入っているものを教えてくれた。
「いりこ、あじこ、昆布、しいたけ、むろぶし、ソウダガツオ、うるめぶし,鯖ぶしで、うるめとソウダが一番多いです」と、サラリと答えられた。
道理でうま味が深いわけである。
カレーも美味しかったと伝えると、「トマトをいっぱい使ったカレーにしてます」とのことだった。
やはり只者ではない。
最後に「ぬた」について尋ねると、
「普通はにんにく葉ですが、違うものでやりたかったんですよね。土佐うどんと名乗っているので、高知の特産品でもあるニラでやってみたんです」。
好きなうどん屋は「藤家」と「國虎」だそうだが、その2軒とは違う個性豊かなうどん屋を作られた。
これだから高知県のうどん屋は面白い。
高知県高知市朝倉横町20-35「土佐うどん まるかや」にて