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土佐のお座敷遊び王者決定!「土佐はし拳全日本選手権大会」4年ぶりの開催に大歓声

       

この情報は2023年10月12日時点の情報となります。

土佐のお座敷遊び「はし拳」の王者を決める「第55回土佐はし拳全日本選手権大会」が、2023年10月6日に4年ぶりに開催された。
笑顔があふれる「はし拳」の熱戦の模様をお届けします。

4年ぶり!!拳士たちが待ちに待った「土佐はし拳全日本選手権大会」開催

土佐の酒飲みなら、やったことはなくても見たことはあるという、土佐のお座敷遊び「はし拳」の王者を決める「第55回土佐はし拳全日本選手権大会」が2023年10月6日、高知市のザ クラウンパレス新阪急高知で4年ぶりに開催され、46チーム138人の拳士たちが熱戦を繰り広げ、今年の日本一を競い合った。

「はし拳」とは、後ろ手に3本づつ箸を隠し持ち、先手後手が入れ変わりながら差し出された箸の合計本数を当てるという、単純なルールの土佐のお座敷遊びだ。

ただ、簡単なのはルールだけで、そこには高度な手の読みあいや心理戦、さらには知らず知らずに進んでしまうお酒の酔いも絡んでくる。

一度はまってしまえば抜けられない「はし拳」。土佐のはし拳好きは皆真剣に「はし拳」に向かい合うのだ。

 

感慨深き開会式と土佐はし拳節に心が沸き上がる

開会式では、4年ぶりとなる優勝旗返還、前回個人戦優勝者による「拳士宣誓」が行われたが、それを見守る高知県酒造組合の面々・参加拳士たちも感慨深げである。

つづいて審判長からのルール説明、高知県酒造組合理事長の司牡丹酒造組合代表取締役社長 竹村昭彦氏自らによる模範試合が行われ、ここでも会場は大きな拍手に包まれた。

さらには高知市の料亭「濵長」さんが「土佐はし拳節」を披露したときには、感極まり涙ぐむ拳士までいた。

「やっとはし拳がもんてきたねぇ」「こりゃ今日は負けられん!」と拳士のみなさんに気合が入る。

 

「負けてたまるか!」はし拳全日本選手権スタート

「いらっしゃい!」「3本よ!」と会場には大きな声が響きあい、拳士たちのボルテージは上がっていく。

負けた拳士が「そろそろ飲みたかったがよ」と負け惜しみを言いながら罰盃になみなみ注がれた土佐酒を飲み干すのもよく見る光景だ。

はし拳を打つ姿は真剣そのものだが、勝負が終われば笑顔でお互いをねぎらう。

「はし拳」は土佐の人間の気風が感じ取られる、なんとも高知らしいお座敷遊びなのだ。

 

会場には笑顔があふれ、拳士たちは再会・再戦を誓う

選手の控え場所でも、酒を酌み交わしながらあちらこちらで「はし拳」が繰り広げられる。

「お久しぶりじゃねぇ、一本お願いできますか」「おんちゃん、さっきはやられてもうたけどリベンジ一本お願いできるろうか」と声を掛け合い箸を交わす。

「ありゃ、また負けたやか」「まだまだおんしゃあにはやられんちや」、と軽口を叩きながらお互いに笑いあう。

4年ぶりの開催となった「土佐はし拳全日本選手権大会」。

会場には変わらぬ熱気と笑顔があふれ、「やっぱり、はし拳は面白い」と皆が満足な時間を過ごす大会となった。

 

上位入賞者にはたまらないご褒美が!そして優勝者には何と

「第55回 土佐はし拳全日本選手権大会」の団体戦は南国市の「浜改田 絆」が優勝、個人戦は安芸市の「穴内剣友会2組」の渡辺 正さんが見事に勝ち抜き横綱となった。

「はし拳全日本選手権大会」の上位入賞者には、副賞として酒飲みにはたまらないご褒美がある。

土佐の酒蔵18蔵から、成績に合わせて土佐酒一升瓶が送られるのだ。

団体優勝チームと個人戦横綱に送られる土佐酒の数は、なんとそれぞれに一升瓶36本。

「いやあ、どうやって持って帰ろう」などと言いながら、しっかり土佐酒を持って帰る段取りを用意しているのはさすが土佐の酒飲みである。

嬉しそうに土佐酒を運ぶ姿を見ながら、拳士たちが来年はうちが持って帰ると思っているのは間違いないのであった。

 

これからの「はし拳」を考える

さて、盛況のうちに終わった「第55回 はし拳全日本選手権大会」だが様々な問題もある。

徐々にではあるが参加人数が減りつつあること、拳士の高齢化の問題、日程のことなどを大会開始前に竹村 昭彦氏に聞いた。

竹村 昭彦氏もそのことについていろいろと考えていたようで、質問に答えていただき、開会の挨拶の中でも改めてその思いを伝えてくれた。

「今回参加いただいた拳士の方々がもっと参加しやすいように取り組みながら、若い方々にも普及し大会に参加いただけるようにいろいろな方策を考えています。『はし拳全世界選手権大会』という名前に変えなければならないぐらい外国の方々にも参加していただければ、ますます大会はおもしろくなると思います。そういうふうに、はし拳が広がり、ずっと続いていくように頑張ってまいります」

大いなる拍手と歓声に迎えられた今大会の開会の挨拶。

「はし拳」は土佐が残していかなければならない大事な文化である。

まずは難しく考えずに皆で「はし拳」をやってみてはどうだろうか?意外とそばに拳士はいるものである。

 

【はし拳ルール】

①まず、二人が差し向かいに座り、まん中に酒と杯と赤箸6本を用意します。
②先手・後手を決めるためにジャンケンをします。(このときに最初はグーの掛け声を忘れてはなりません)ジャンケンで勝った方が先手、負けた方が後手です。
③それぞれが箸を3本ずつ後ろ手に隠し持ち、ジャンケンに負けた後手の方から「いらっしゃい」の大きな声とともに、相手に見えないように箸を手に隠し、前に差し出します。
④先手は「3本」としか言えないルールなので、後手が持っている本数を推測し合計3本になるように箸を握り、威勢よく差し出します。
⑤これに対し、後手は「1本」もしくは「5本」と答えます。(この時、後手は出している本数が0本か1本なら必然的に「1本」、2本か3本なら「5本」と答えることになります)
⑥双方はっきりと出している箸を見せ合い、2人の箸の合計が3本なら先手の勝ち、1本か5本を言い当てたなら後手の勝ちとなります。
⑦これを先手後手入れ替わりながら3本勝負で打ち合い、負けた方は盃の酒を飲み干します。

 

取材協力:高知県酒造組合、「第55回はし拳全日本選手権大会」出場拳士の皆さま