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この情報は2023年9月12日時点の情報となります。
四万十町窪川で120年前から酒造りを行ってきた歴史ある酒蔵「文本酒造」。
コロナ禍で酒の消費が落ち込み、酒造りを休止したのが2020年のこと。
休止に伴いスタッフも離れ、廃業に向けて準備が進められていた2022年。四万十町窪川に酒蔵を残したいという有志に第三者事業承継を行い、「fumimoto brewery」として生まれ変わった。
「fumimoto brewery」は再生にあたって、茨城県から杜氏を招聘した。それが、石川博之さんだ。
茨城県で25年以上酒造りを行ってきた石川さん。
酒造りを行う中で、特に大切にしていることが「地域に根ざした酒造り」だ。
石川さん:この場所で酒造りを行うからには、地域を感じてもらえる日本酒を造らなければ面白くないと思いました。そこで、日本酒の原料となる米には四万十町の「仁井田米」を使うことにしました。「仁井田米」は食用米です。酒造りには、「酒米」と呼ばれる日本酒作りに適した品種を用いることが多いのですが、せっかく四万十町で地域に根ざした酒蔵を任せていただいたのに全国どこでもできることをしては勿体無いと思ったんです。そこで、地域のブランド米である「仁井田米」で酒造りをしてみようと考えました。
そうして完成したのが純米大吟醸「SHIMANTO」と純米大吟醸にごり「霧の里」だ。
リニューアルした日本酒は、瓶詰めではなくスパウトボトルという容器を採用しているのも特徴的。
アーティストとコラボしたラベルもあり、自分用はもちろんプレゼントしたくなるカラフルで個性豊かな容器だ。
また、酒蔵は一部を改装し、日本酒とのペアリングが楽しめるバー「お酒やさん」を新設し、酒造りと共にその楽しみ方を発信している。
石川さん:地元の方はもちろん、国内外から四万十町を訪れた人が日本酒や食を通じて、地域の文化や歴史を感じる場所となればと考えています。
容器やアーティストとのコラボ、そしてバーの運営など。
これまでの「酒蔵」や「日本酒」という既成イメージをヒョイと飛び越え、果敢にチャレンジする「fumimoto brewery」は新しい風を感じる酒蔵に生まれ変わっている。
取材に訪れたこの日は、窪川高校の学生二人がインターンシップで甘酒づくりに取り組んでいた。
なぜ「fumimoto brewery」でのインターンシップを希望したのか尋ねると「子どもの頃から家族と通った親しみのある酒屋だから」「ものを造る仕事を体験したかったから」という返答が帰ってきた。
一度は廃業の危機にあった酒蔵が、こうして継承されたことの意義。生まれ育った土地に、当たり前にあった酒蔵が今後も続いていくことの大切さをしみじみと感じる答えだ。
甘酒造りは、洗米を経て「甑(こしき)」といわれる大きな蒸し器で米を蒸す工程が行われていた。
蒸し上がった大量の米は、四万十町で育った「仁井田米」を100%使用している。
熱々の米を取り出し、粗熱が取れるよう広げる。
適温まで下がったら、温度・湿度が管理された麹室(こうじむろ)へ。
文本酒造の看板商品だった「桃太郎」のカップには、発酵の要となる「麹」がセットされている。
これを蒸し米に満遍なくふりかけていく。
30℃ほどに管理された室内では、少し作業するだけで汗が吹き出す。
最後の発酵は、酒蔵にミスマッチなこちらで行う。
それは、なんとテントサウナ!
温度管理されたテントサウナの中で液体になるまで発酵を進めると、「fumimoto brewery」の甘酒が完成する。
初めて酒蔵での仕事に従事した高校生からは、「暑い!」「思ったより重労働」といった声が聞かれた。
現在、「fumimoto brewery」は四国銀行と高知新聞社とREADYFORが提
2泊3日の酒造り体験という観光メニューの開発に向けた、設備投資を目的としたプロジェクトだ。
これが実現すれば、日本酒を「購入して飲む」という食の体験に加えて、四万十町の暮らしや文化、歴史を知り、「蔵人」としての生活を体験してもらう3日間を提供することが可能となる。
酒蔵を応援したい!四万十町が好き!地域おこしの取り組みに興味がある!という方は、下のURLから詳細をご覧いただきたい。
https://readyfor.jp/projects/fumimoto
※クラウドファンディングは10月31日まで
「EINEE高知」についてはこちら
https://cf.readyfor.jp/local/kochi
fumimoto brewery
住所:高知県高岡郡四万十町本町4-23
https://fumimoto.jp/
文/長野春子