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【高知家の〇〇特別企画『高知に来たら必ず訪れたい店』】コシが重なる唯一無二のミルフィーユうどん「麺房 三宅」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2023年5月14日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、高知家の〇〇の2000記事公開記念企画「マッキーさんが高知に来たら必ず訪れたい店」の第六弾として、高知出身の女優・広末涼子さんのお気に入りでもある「麺房 三宅」をご紹介します。

高知は、隠れたうどん県である。

うどん消費量は全国30位であるが、実は優れたうどん屋が数多くある。

今まで紹介したお店をあげてみよう。

「手打ちうどん 藤家」の「タイカレーうどん」、「国虎屋」の「カレーうどん」、「繁じ」の「鶏天ざるうどん」(閉店)、「いろりや」の「釜玉うどん」、「茶農家の店あすなろ」の「沢渡うどん」、「田子作」の「四万十川うどん」、「よがなうどん」の「冷やしかけ」、「三里うどん本舗」の「まかないうどん」、「うどん処 楓」の「生しょうゆうどん」、「うどん処ゆたか」の「おばけ」、「ど久礼もん」の「焼きラーうどん」、「さぬき結」の「角煮うどん」(記事未公開、楽しみに待っていてね)といった具合に、バリエーションに富んだうどん屋が、待ち構えている。

【関連記事】高知でうどんをいただくならココ!行ってみて食べてみて高知のうどん店6選 美食おじさんマッキー牧元セレクション

うどん好きなら、ぜひ訪れてほしい店ばかりだ。

そんな隠れたうどん県の高知に来ると、必ず寄りたくなるうどん屋がある。

それは、私が「ミルフィーユうどん」と勝手に呼んでいる「麺坊 三宅」である。

全国で様々なうどんを食べてきたが、この店に似たうどんはない。

ご主人は、朝5時に起きてうどんを打ち始める。

折りたたみながら打っては寝かし、休ませるを何度か繰り返して、この独特なうどんはできる。

こうやって一日に打つうどんは、約150食分だという。

11時に店は開くが、開店前から人が並び始め、開店と同時に満席となる。

何が独特かというと、コシがないようで、コシがあるうどんなのである。

その魅力は、ざるが一番わかりやすい。

滑らかなうどんをすすり、噛もうとすると柔らかい。

ふんわりと歯が入るが、芯に根性があり、コシがある。

さらにグッと力を入れて噛むと柔らかく、その奥にまたコシがある。

この柔らかさと硬さが、交互に重なっているのがこの店のうどんの魅力である。

ツンデレならぬ、最初は優しいが、ビシッと怒られ、再び優しく、再び怒られる。

そんな女性がいたら惚れてしまうだろう。

つまり、心を翻弄する魅力があるので、虜になってしまうのだ。

レモンが添えられるので、あっさりとするのもいい。

この特徴的なうどんを仔細に観察したみた。

10回くらい噛んで芯を感じ、30回噛むと芯が無くなり、そしてその先に少し硬さがある。

味わいは、何もつけずに素のまま食べると、20回目からほんのり甘みが滲み出る。

温かいうどんは、さらにその甘みが際立つ。

例えば、とろろ芋と卵の「やまぶきうどん」はどうだろう。

食べれば、うどんの甘みが、卵の甘味やとろろイモの甘みと共鳴するのであった。

ちなみに、つゆの温かいうどんは10回も噛むとうどんは消えていき、ぶっかけは14回くらいで消えていく

以前食べた「カレーうどん」もおすすめだが、ふわりと卵を閉じた「やまぶきうどん」もこのうどんをいかす。

さらには温かいつゆと合わせた「わかめとじあんかけうどん(梅入り)」もおすすめしたい。

わかめの「ぬるん」とうどんの「つるん」が唇を喜ばせ、贅沢に取られたのであろう出汁をベースにした、つゆのうま味が舌を流れて唸らせ、梅の酸味が引き締める。

食べていたら「これどうぞ」といって、「あんぼ柿の天ぷら」を出してくれた。

天ぷらにされ、温まったことによって膨らんだ、あんぽ柿の甘みが、なんとも心地よい。

いい気分に浸りながら誓った。

「また来るぞ」と。

高知県高知市伊勢崎町「麺房 三宅」にて