グルメ
【高知グルメ】土佐ジローを使った旨みたっぷり中華そば「中々。」ほっとこうちおすすめ情報
この情報は2023年2月5日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、高知県の西部、四万十市の鰻屋「四万十屋」を訪ねてきました。
青空の下で、四万十川がのったりと流れていく。
初めてこの光景を見た時、この川を見て育った人は、心が広くなるんだろうなあ、と思った。
そう思わせるほど、四万十川を望む風景は、雄大である。
日々のストレスや苦労などが馬鹿馬鹿しくなる空気が漂っている。
「四万十屋」は、そんな川のほとりに店を構えていた。
二階の桟敷に座れば、眼下に四万十川と広い青空が見え、奥に山を望む。
鰻屋としては最高のシチュエーションではないか。
出かけたのは冬であったので、養殖鰻だったが、夏の時期には、目前の四万十川で獲れた鰻を出すという。
ああ、あの川で泳いでいる鰻を、自分は食らっているのか。
そんな想いを抱きながらの鰻は、さぞおいしかろう。
もちろん養殖鰻も、素晴らしい。
関東とは違い、蒸さない地焼きの蒲焼で、甘辛いたれの向こうから、コラーゲンの旨味がやってくる。
歯を押し返すような、食感の躍動感もいい
生命力の強い鰻を、自分の体内に食らい込んでいるコーフンがある。
養殖だが、悠々と流れゆく四万十川を見ながら食べていると、不思議と思う。
川下には多くの鰻がいて、我はそれを食っているのだという、万感たる気持ちが溢れていく。
ご主人にお聞きしたところ、天然鰻は4月1日から9月末まで出され、最盛期は8月末から9月だという。
春は冬眠した後なので、味があっさりとして、次第に脂が乗っていき、下りうなぎと呼ばれる海に出て行かんとする9月の鰻は、みっちりと脂をつけているのだという。
そんな話を聞かされれば、毎月来たくなるではありませんか。
この一帯は汽水域なため、餌が豊富で、鰻もせっせと養分を蓄える。
普通、鰻屋で食べる蒲焼は200〜250gくらいだが、四万十川の天然鰻の中には、1キロを超えるやつもいるのだという。
いかに餌が豊富な水域かということである。ただご存知のように、鰻は減少している。
木や竹で作った細長い筒を、朝、川に沈め、夕方に引き上げるコロバシ漁が四万十川では主流だが、今は200のコロガシを入れても、せいぜい10匹が入っていればいい状況だという。
その他、石を積み上げ鰻の寝床を作り、一網打尽とするイシグロ漁、木の枝で作った芝を沈めて鰻をとる芝漬け漁(この四万十特有の漁法が海の延縄にもなっていった)などがある。
他の県同様、漁師の方々も高齢化して減少しているという話を聞いていると、肝焼きの苦味が心に染みる。
また四万十川は、天然の青海苔が有名だが、去年は長雨が続いて腐ってしまった。
さらに温暖化の影響で、1月に氷が張らず、青海苔が育たないのだという。
四万十川の中洲を真っ青に染めた青海苔の光景は、またいつか復活するのだろうか。
高知県四万十市山路「四万十屋」にて