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高知の正月の風物詩!「紙の門松」のルーツを探ってみた話

       

この情報は2018年11月14日時点の情報となります。

残すところ今年もあと1ヶ月半余り。年末になると高知県内の多くの家のポストに入っているものといえば…そう、「紙の門松」。
そもそもこれってどういうものなの?

気がつけば今年ももう11月半ば。年の瀬やお正月の話題がちらほら聞こえる季節になってきた。
お正月飾りといえば、しめ縄・しめ飾りや門松が代表的だが、高知県には「紙の門松」というものがあるのだ。

「紙の門松」とは、上の写真のような松竹梅などが描かれている紙を真ん中で切り離し、玄関の左右に張り付けて飾るもので、県内の多くの地域では年末になると家のポストに市町村の広報誌などとともに投函されていて、お正月に玄関に飾る家庭も少なくない。

ただ、県外出身者にはほとんどなじみのない「紙の門松」。実際、県外出身の記者も高知で初めての年末年始を迎える時にこの「紙の門松」が家のポストに投函されていて、「これは一体どういうものなのか…??」と戸惑った経験がある。

そこで高知家の○○取材班は「今年も紙の門松の印刷が始まった」との情報を得て、そのルーツを探るべく取材に向かった。

 

60年以上の歴史!そのきっかけは…

訪れたのは高知市上町にある「共和印刷株式会社」。

代表取締役の酒井陽典(ようすけ)さんに話を伺った。

酒井さん:「きっかけは昭和27年頃に私の叔父にあたる初代の社長が松林の保護と新生活運動の一環として考案し、ご近所に配ったのが最初です。その後、高知市の方の目に留まり、昭和29年に市の福祉課で採用されて、昭和30年から平成16年まで市の事業として市内全戸に配布されていました。」

43年前(昭和50年)の新聞記事

高知市では市の事業としての全戸配布は廃止となったが、現在は高知市町内会連合会が事業を継続していて、今でも高知市含め県内約20ほどの市町村では全戸配布が続いている。

もう60年以上の歴史を誇るまさに「高知の正月の風物詩」!
きっかけが「松林の保護」というのが意外だったが、なぜ松林だったのかと伺うと…

酒井さん:「叔父は盆栽が好きで、毎年正月が終わると各家庭から門松の松がゴミとして大量に捨てられているのが忍びなかったのだそうです。」

この画期的な正月飾りは初代社長の「盆栽愛」から生まれたものだったとは…。

 

デザインにもこだわりが詰まっている

ところでこの「紙の門松」、デザインは毎年変わっている。

ここ10年間のデザインの変遷

記者:「毎年作られるにあたってのこだわりがあれば教えてください。」

酒井さん:「そうですね。少しややこしいですが厳密に言うと『カラー印刷ではない』という事です。つまり、昔の『インク』の色をベースに作っていまして、現在は『緑』『うす緑』『赤』『金』の4色のみでデザインを考えています。」

2019年のデザイン!

記者:「確かに、来年のものもその4色ですね。デザインのこだわりは何ですか?」

酒井さん:「その年その年の世の中の流れなども見ながら考えています。ちなみに来年(2019年)は元号も変わるので、それにふさわしく竹や文字も太くして力強さを表現しています。」

昭和49~50年頃の紙の門松

会社に保存されている40年以上前の「紙の門松」も見せていただいた。
時代に合わせてそのデザインも進化してきたことがよくわかる。

 

「紙の門松」を手に入れるには?

10年ほど前には各都道府県のローカルネタを紹介する某有名番組でも取り上げられたという「紙の門松」。
「欲しいなぁ…」と思っているそんなあなたに朗報!?

毎年12月20日から会社の前で3,000枚の紙の門松(『共和印刷謹製』の社名入り)を無料で配布しているという。
無くなり次第終了とのことなので、県外で欲しいという方はわざわざ高知に来てゲットだ!

■共和印刷株式会社
http://jampan.com/