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標高1,455m!四国カルストに抱かれた梼原町の「雲の上の図書館」で隈研吾の原点に触れる

       

この情報は2021年4月5日時点の情報となります。

日本三大カルストとして知られる四国カルストには小さな山間の町、梼原(ゆすはら)町がある。世界的建築家・隈研吾の建築がいくつも建ち並ぶなか、最新建築「雲の上の図書館」を訪れた○○取材班は、図書館の魅力とともに国内外から観光客を引き寄せる町の秘密を探った。

高知市から1時間半ほど車を走らせたところにある梼原町は、面積の91%が森林で、高知の中でもより“高知らしさ”を感じられる場所だ。(高知は80%以上を森林が占めている)
市内から幾つものトンネルを抜け、くねくねとした山道を登り、新緑の美しさに溢れる険しい峠を越えた先に、県境の町が現れる。

雲の上の図書館

梼原産のスギ材をふんだんに使用した建築が特徴的な「雲の上の図書館」。

雲の上の図書館

入口で靴を脱いで入館すると、階段状の空間が広がる。

入口横にはピアノが設置されており、コンサートを開くこともあるのだとか。

雲の上の図書館

2階まで吹き抜けの天井を見上げると、いまにも降ってきそうな梁の木々。
圧巻の迫力だ!

鏡を使用することで視覚的な効果を促している。

雲の上の図書館

館内の蔵書は現在約6万冊。

雲の上の図書館

雲の上の図書館

隈さんにまつわるコーナーや、季節や行事ごとに入れ替わる特設コーナーなど、テーマ毎に分類された膨大な書籍の中から気になる本を見つけ、ソファやテーブル席に腰を下ろしてのんびり読書を楽しめる。

雲の上の図書館

2階の細長いカウンター席では勉強にいそしむ学生や、仕事をする人の姿を見かける事も。

 

館長の見目 佳寿子(けんもく かずこ)さんに、建築の特徴や町と隈氏とのご縁についてお話を伺った。

 

林業の町と、若き日の隈研吾氏との出会い

雲の上の図書館

見目さん:30年ほど前に、「ゆすはら座」という木造の芝居小屋を守る保存運動がありました。この運動に東京からの支援者として隈さんが携わっており、そこからご縁が始まっています。

梼原は古くから林業の町で、大工さんや建築関係の職についている人がとても多いんです。
木をふんだんに使用したご自宅を建てられる方が多いですね。

芝居小屋の移築を進める際に、地元の大工さんと隈さんが一緒に作業を進めることがあり、そのなかで木や木材の持つ“素材としての可能性”に隈さんが目覚めたと聞いています。

今でも講演会などで、「梼原は自分の原点である」という趣旨のお話をしていただいているようです。

27年前に、隈さんの梼原ではじめての建築となる「雲の上のホテル」の建設を町長が依頼したのをはじまりに、現在ではここ「雲の上の図書館」を含めて町内には6つの建築物があります。
高知市内から車で訪れる際にも確認いただけますよ。

梼原の隈研吾建築は「雲の上の図書館」のほか、梼原町の代名詞ともいえる町役場「梼原町総合庁舎」、特産品販売とホテルが融合した「マルシェ・ユスハラ」、木のぬくもりが感じられるあったかな施設「YURURIゆすはら」、世界でも類を見ない圧巻の建造物「雲の上ギャラリー」、隈研吾による初めての建造物「雲の上のホテル」。

梼原町を訪れた際は巡ってみたい。

 

雲の上の図書館の魅力~町民の出会いの場所に~

雲の上の図書館

―「雲の上の図書館」のコンセプトや魅力を教えてください。

見目さん:コンセプトは「森のなかで本を読む」。天井の木組みは森を表していて、特徴的なデザインは梁の役割も担っています。

柱が最小限なので空間を広く使うことが出来、すっきりとした抜けのある空間を実現させています。
建築のシャープな魅力に加えて、たくさんの人が集まっていただける場所となるように、隈さんと図書館職員で空間を作り上げてきました。
みんなが居心地よく一緒に過ごしたい、と感じられる雰囲気の良さが魅力ではないかと思っています。

従来の本を読む場所としての「図書館」の役割だけではなく、町の人同士が出会う場所の役割も担っているそう。

館内にはボルダリングが楽しめるスペースが設置されていて、ボードゲーム大会や映画上映会などのイベントも開催しているのだとか。
現在はコロナの影響で休止しているので、今後の再開については、公式HPで確認してほしい。

 

NPO法人が運営するカフェ「ほうきぐも」

館内には一息つけるカフェスペースがある。

飲み物だけでなく、あっさりとした美味しさが人気のチーズケーキやクッキーを提供している。お手頃価格が嬉しい。

 

-最後に、梼原町は3,500人と小さな町ですが、素敵な建造物や自然環境を求め、移住者が増えてると聞きます。そのような実感はございますか。

見目さん:都会に限らず様々な場所から移住される方がいらっしゃいます。音楽活動をしながら図書館で働いている移住者スタッフもいますよ。

梼原で、ゆくゆくはチーズを作りたいとご夫婦で移住された方もいらっしゃいました。

2018年にオープンして今年で3年目を迎える、雲の上の図書館。
町民はもちろん、高知市や四万十市、愛媛県などからも多くの方が訪れている。

道路事情が昔よりも格段によくなり、高知・松山どちらからも車で1時間半で来れるのは魅力的だ。

全国から視察に訪れる方も多い注目の場所で、のんびり木々と本の魅力に浸ってみてはいかがだろうか。

 

施設情報

梼原町立図書館「雲の上の図書館」

住所:高岡郡梼原町梼原1212番地2
電話:0889-65-1900
開館時間:午前9時~午後8時
休館日:火曜日(毎週)、金曜日(最終週のみ)