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ねっとり上品な蜂蜜の甘さのサツマイモ「ミエルスィート」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2021年3月14日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回はフランス語で蜂蜜の意味の「ミエル」を名前にいただくサツマイモ「ミエルスィート」をご紹介します。

甘い。

甘いが、ただねっとりと甘いだけではない。

オレンジ色の芋には、蜂蜜のような品のある香りが根底にあって、後口がすっきりとする。

そんなサツマイモなのである。

名前は「ミエルスィート」という。

高知市のお隣、南国市でオリジナルブランドのサツマイモを、仲間達を作られている鈴木郁馬さんの元を訪ねた。

鈴木さんは脱サラをして農業を始められたのだという。

「安納紅芋の改良して、もう15年ばぁやね」。

普通のサツマイモと比べるとふっくらとしてる。

芋が、「おいしいよ」と語りかけてくるような形である。

だが、最初は相当苦労されたという。

「一番最初は、もっと白く、菊花のようにくびれがあって、普通の芋が1,000円なら400円でしか売れんかった」ということである。

しかし丸いのがだんだん長くなって、焼いたりするのも均一になるようなっていった。

「みなさん、味を知ったら、もう見た目のことは言わんようになった。いまでは足りないくらいです」という。

土は水捌けがいい、黒僕の土である。

そこで高知県の基準の半分以下の農薬を使い、畑全体の6割くらいはミエルスィートを作られている。

なにより香りがいい芋である。

通常のサツマイモよりねっとり感が強く、上品な趣がある。

収穫後1〜2ヶ月寝かせる「キュアリング」という熟成期間をおいた芋は、オレンジ色になり、皮の香ばしさとほのかに酸っぱい香りがでるという。

蜂蜜のように甘いため、ハニースイートと名付けしようと思ったらしいのですが、すでに登録されていたため、フランス語で蜂蜜を意味するミエルを使ったという話である。

いやあこれは、ハニーという単純な感じではなく、ミエルでしょう。

ただおいしいだけではない。

畑には若い方がたくさん働かれていた。

鈴木さんは言われる。

「農村が担い手が少なくなっていくので、この芋づくりを通じて人材育成、人手を育てることをしたいと思って動いています。地域の担い手としてできることをやりたい」。

まず教えることは「農業は一人では絶対できないこと」であり、誰かが困っている時は助け、自分が困った時は助けてもらう。

それが大切なのだと言われた。

そう語る鈴木さんの顔には、情熱がほとばしっていた。

またミエルスイートを取り寄せよう。

そして鈴木さんの熱い思いと、高知の強い日の光の中で働く若い就農者の姿を思い浮かべながら、甘い芋をかじろう。

 

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