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【高知カツオ県民会議シンポジウム】「高知と言えばカツオ!」…だったのが高知の美味しいカツオを自慢できなくなる日がやってくるかも!
この情報は2021年3月19日時点の情報となります。
昨年10月、香南市立夜須小学校の6年生18人が高知県庁を訪れた。訪問の目的は、地元のPRをしたいので高知家の取り組みを参考にさせてほしいというもの。その後、取り組みをみてほしいと児童から連絡があったため、高知家の○○取材班は夜須小学校へ。
やってきたのは、高知市から東へ車で約40分の香南市立夜須小学校。
幼稚園、保育園、小学校、中学校までの一貫校で、県内の公立では珍しい。
そんな香南市夜須小学校6年生クラスでは、今年から新たな総合授業が行われている。
一体どういった取組なのか、夜須小学校6年の青木先生にお話を伺った。
青木先生:年間70時間、総合授業の時間を設けています。子どもたちにとってワクワクした楽しい学校生活が送れるよう、自分たちがやりたいことはなんなのか、楽しくするためにはどうすればいいのか、すべて児童たち自らで考えて行動してもらう授業です。
これまでも総合授業はあったようだが、先生が決めたテーマに沿って活動してもらうという内容だったそうだ。より自主性にゆだねた授業スタイルになっており、先生は児童たちの取り組みに対して介入等は一切行わない。
4月から毎週金曜日に2時間設けられた総合の授業。
ゼロからスタートさせるというのは、子どもたちにとって、かなり高いハードルとなった。
なかなか児童みんなが納得できる案が浮かばず、最終的にテーマが決まったのは2学期だった。
みんなが納得して決めたテーマは、コロナ禍において、元気がなくなっている夜須町を「元気にしたい」というものだった。
そこから具体的な取り組みへと動き出すのは、時間はかからなかった。
「地元には魅力的なものがたくさんある」「夜須にはマークがない」「パンフレットがない」など、意見を出し合いながら、子どもたちは、「PR動画班」「キャラクター班」「パンフレット班」に分かれて、夜須町全体を盛り上げていこうと本格的に取り組みをスタートさせた。
途中、悩んだり、意見がまとまらなかったときは、地域の方々や保育園に行って、自分たちよりも大人や小さい子どもたちなどから幅広い意見を聞いた。そうして試行錯誤を重ね、ようやく取り組みに一区切りついた。
ここで子どもたちが1年かけて取り組んだ集大成を紹介しよう。
キャラクター班は、全員で8名。
作成したキャラクターは、トマスメくん。永遠の12才で、性格は「わちゃわちゃ」「人なつっこい」。
名前は、夜須町の特産品のフルーツトマト、ルナピエナスイカ、エメラルドメロンから名付けられている。地元をPRする際、農家さんをはじめ、地元住民の方々に活用してもらいたい、トマスメくんを通じて、夜須町の特産品を知ってもらいたい、という思いが込められている。
まずは、「トマスメくん」「トマスメちゃん」ふたつのキャラクターを作成。
しかし…
瓜二つすぎて「見分けがつかない」などの声があり、改良したのが、こちら。
「ニトカちゃん」(ニラ、トマト、スイカ)だ。夜須町がある香南市はニラの産地として有名。そのニラでロングヘア―にするという子どもならではのアイディア。
こうして3つのキャラクターが誕生したが、子どもたちにはゆるキャラのような着ぐるみを作る予算はない。
そして考えたのが…
段ボールで作りあげたトマスメくんだ。こちら、ただの置き物ではない。
児童が中に入ることもできるのだ。
ポーズをとると、とってもシュールで可愛い!
難点は、段ボールなので耐久性が低く、着る度に修復が必要なことだそうだ。笑
動画班は全員で5名。
子どもたちだけで作り上げた1分半の夜須町PR動画は下のリンクからご覧ください!
動画の撮影や編集は、子どもたちにとっては初めての体験。
保護者から借りてきたiPadを使用して、何度も撮り直しながら撮影し、編集作業はひたすら触って、操作を覚えた。そうして約2カ月間要して、ようやく完成させたのだ。
こだわりポイントは、夜須町にないものから紹介し、そこを逆手にとった伝え方をするというアイディアと、なるべく短い時間の中で夜須町の魅力をたくさん紹介すること。
慣れるまでは大変だった撮影から編集の作業だが、覚えてくると楽しいようで、現在は第2弾の動画も作成中ということだ。
パンフレット班は全員で5名。
当初は、夜須町の魅力を詰め込んだ大きなパンフレットの作成を考えていたが、「手にとって見てもらいづらい」「情報を盛り込みすぎることで文字が小さくなる」などの課題に気付き、修正しながら完成させたパンフレットは2種類。
「飛び出すパンフレット」と「ガチャパンフレット」。
「飛び出すパンフレット」は、夜須町の魅力を写真を踏まえて紹介していて、開くと文字が飛び出す仕組みになっている。
ヤ・シィパークやカフェ、可動橋など約10種類のパンフレットを合計で1,000個ほど手作業で作成し、道の駅などに設置していく予定だという。
「ガチャパンフレット」は、ガチャガチャ版のパンフレット。
ヤ・シィパーク内にある、子どもだちが大好きだというたこやき屋「たこやきはかせ」前に設置されている。
ガチャガチャの要領で回すと、カプセルと中からミニパンフレットが出てくる。
楽しみながら夜須町の魅力を知ってもらえる仕掛けになっている。
全ての班において、企画から制作まで大変な作業ではあるが、子どもたちは和気あいあいと楽しみながら取り組んでいる姿が印象に残った。
-青木先生、この一年総合の授業をやってみていかがでしたか?
青木先生:子どもたちが変わりましたね。自分たちで考えて、学んで、行動する姿勢が見られるようになりました。私たちは、子どもたちがやりたいことには、基本ウェルカムな姿勢をとっています。この1年で「こんなことしていい?」と聞かれることが増えました。時には、生徒自らトマスメくんを広めようと気づいたら校内放送していた時もありました。笑
小学校6年生の児童たちは、4月から中学生。
中学生になっても、今のメンバーのままで学校生活を送っていくこととなる。
地元を元気にする活動は、中学生になってもみんなで続けていくそうだ。
固定概念にとらわれない斬新なアイディアや課題を見つけながら取り組む行動力に、新鮮さと刺激をもらった○○取材班だった。