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高知で繰り広げられる熱い闘いの「カシオワールドオープン ゴルフトーナメント」 と同時開催!12種類の自然体感&スポーツ体験イベントが実施されるぞ!
この情報は2020年8月17日時点の情報となります。
高知県の高齢化率(65歳以上の割合)は全国平均の28.4%をはるかに上回る35.2%で、高齢化が課題になっている。
一方、65歳以上で元気に活動されている方はたくさんいらっしゃる。中でも、シルバー人材センターの一員として元気に活動している方々の魅力を発掘し、発信する「高齢バンザイ」シリーズvol.2。
前回に引き続き、元気に働いている方々のなかでも特に活躍されている方を、シルバー人材センターに紹介いただいたぞ。
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今回取材にお伺いしたのは、高知市の鏡川沿いで国語と書道の塾「高能塾」を開いている、書道家の高野芳久さん(69歳)だ。
高野さんは、小学2年生のころから書道を習い始め、書道の魅力にのめり込み、高知追手前高等学校卒業後は、本格的に書道を学ぶため、東京学芸大学書道科へと進んだ。
高校、大学では書道を続けながら、ハンドボールにも取り組み、全国大会に進むほどの強豪校で毎日汗を流していた。
大学卒業後は、取得した教員免許を活かして、県内の私立高校 土佐女子高等学校で国語と書道を指導する教諭として教壇に立った。
その後、2000年に独立を決意し、今の高能塾を開講。雅号(がごう。画家・書家などがつける風雅な名前)「奇峭(きしょう)」という名で活動されている。
-奇峭(きしょう)に込められた思いは?
高野さん:「奇」は、学生時代に書道とハンドボールという、文化系と体育会系の両方を行う変わり者という奇抜さや素晴らしさ。「峭」は、厳しいという意味があり、山の岩肌に生えている木をイメージし、雨風などの困難にも打ち勝っていくという意味を込めています。
2017年からはシルバー人材センターに登録し、表彰状や結婚式等の案内状の宛名書きなどの筆耕業務を行っている。
高野さんのこれまでの経歴の中から特に顕著な作品を紹介しよう。
1983年、当時教諭だった高野さんのもとに舞い込んできたのは、ユニフォームの校名の文字を書いてほしいというお話だった。
どこのユニフォームかというと、甲子園の常連校!明徳義塾高等学校野球部のユニフォームだ。
それまではローマ字で校名が書かれたユニフォームだったが、監督の交代をきっかけにデザインを改め、漢字にすることになったのだ。
高野さんは、当時をこう振り返る。
高野さん:突然、知人だった明徳の教諭から電話があり、今から行くから書いてくれと言われました。明徳の校風や教育方針を聞き、文字をイメージしながら書いた5枚の作品から選んでいただいた。最初は初めてのことに戸惑いはありましたが、自分の書いたユニフォームが甲子園で活躍するかと思うとわくわくしましたね。
毎年1月3日、高知市はりまや橋商店街とひろめ市場において、地域活性化や商売繁盛の願いを込めたイベントで書道パフォーマンスを行っている高野さん。書初めイベントは、はりまや橋商店街は2012年から開催しており、今年で9回目。ひろめ市場は、2016年から開催しており今年で5回目の開催だ。
縦約3.5m、横2.5mの特大の布に、豪快に筆を運ぶ。緊張感ある雰囲気だが、作品が完成すると訪れた観客からは歓声と大きな拍手が沸き上がる。
2020年、はりまや橋商店街に掲げられた作品。 テーマ:『「勇気」・「飛翔」・「龍馬」』 作品名:『飛翔する 龍馬も 我も 勇猛邁進』
こちらは、2020年ひろめ市場に掲げられた作品。テーマ:『「幸福」・「笑顔」・「運ぶ」』 作品名: 『ひろめde 微笑む 福は内(食楽)』
作品は、はりまや橋商店街とひろめ市場前で毎年1月下旬ごろまで展示されている。
-普段の書道と比べてどうですか?
高野さん:プレッシャーとの戦いです。多くの方が見に来てくれている中、一発勝負でミスは許されませんからね。完成したときのやりがいは、ものすごく大きいです。
このパフォーマンスは、長時間中腰の状態で大きな筆と墨汁を扱うため、かなりの体力を要する。そこで高野さんは、体力維持のためにウォーキングを日課としている。
高野さん:体力維持はもちろんですが、自宅前の鏡川沿いをウォーキングをしながら、色んなものを見て、感じて、作品づくりのヒントにしています。
作品の構想には、約1か月間かかるというから驚きだ。
※2021年の書道パフォーマンスは、新型コロナウィルス感染症の影響で開催未定となっています。
目の前で実際に書いているところが見てみたいと思った取材班は、何か書いてほしいといきなりお願い。すると、あっさりと快諾していただいた。
今回は、高野さんがイメージする「高知家」を書いてもらうことに。
全く迷いのない筆運びで、最初の一筆をおろしてからものの一瞬で書き上げた。雅号を入れていただき、かっこいい「高知家」が完成。
高野さん:まともに書いてもおもしろくないですからね。高知家の豪快さ、さまざまな幅広い取組み、高知家のふところの深さや風土をイメージしました。
続けて、高野さん自ら進んでもう一筆。
〇〇取材班の名前を書いてくれた。
-かっこよく仕上げていただいてありがとうございます。
高野さん:横という感じが入ってますが、身長が高く、縦のイメージを持ちましたので、「飛」を山形に描くことで高さを表現したり、筆の運びでフットワークの軽さを表現しました。
言葉全体の意味はもちろん、一文字一文字に思いを込めながら、作品を完成させているという。
作品は高野さんからのプレゼントとして大切に持ち帰ったぞ。
現役で塾経営を行う一方でイベントなど幅広く活動されている高野さん。どういった思いでシルバー人材センターのお仕事をされているのだろうか。
高野さん:こういったパフォーマンスとはプレッシャーの面など全然違いますよね。でも、自分が書いた賞状が一人一人の手に渡り、大切に保管されたり飾られたりしていると思うと、ものすごくうれしいですよね。ちょっとでも人の役に立てればと思いますし、手が動く間は続けていきたいと思います。
シルバー人材センターへは高野さんご指名で筆耕の依頼が来るほど、一度書いてもらうと高野さんの書を気に入る方が多いのだとか。
-高野さんの今後の目標を教えてください。
高野さん:書く側はもちろん、見る側としても、多くの人に書道の楽しさを知ってもらいたいですね。書道は固っ苦しさなく、色んな書き方がある楽しさを感じてもらうのが一番です。私の作品を見ていただき、こんな表現ができるんだって思って感動してもらえれば、感無量です。
サービス精神旺盛で、とっても元気な書道家の高野さん。
たくさんの方々が高野さんのパフォーマンスや作品を通じて、書道に魅了されてきたことだろう。これからも、たくさんの素敵な作品を作り続けてくれることだろう。
高能塾
住所:高知市唐人町3-6
電話:088-872-7580
科目:現代文、古文、漢文、文法、小論文、センター試験国語、書道(毛筆、硬筆、ペン字)