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高知の商店街ぶらり散歩 「菜園場商店街」編

       

この情報は2018年2月26日時点の情報となります。

全国津々浦々にある商店街。高知県内にも高知市を中心に個性的な商店街が点在している。
そんな商店街をぶらりと歩いてみるこの企画。普段は気付かない新たな発見があるかも??

高知県の中央に位置する高知市。
市内には大小さまざまな商店街があり、その雰囲気もそれぞれ個性にあふれている。


今回は、高知市中心部よりやや東側にある菜園場(さえんば)商店街をぶらりと歩いてみたので、その周辺の歴史や商店街に軒を連ねる店舗について紹介しよう。

 

まずは解説、菜園場商店街とその周辺の歴史


まずは菜園場商店街と周辺の歴史について紹介したい。
そもそも「菜園場」という地名は、この場所に江戸時代に土佐藩主用の菜園所(野菜畑)があったことに由来しているという。


商店街周辺には高知の歴史を感じることができるスポットがいくつかあるが、その代表といえるのが商店街西側に位置する「横堀公園」だ。


この公園は、幕末の志士「武市瑞山(半平太)」が開いていた道場跡とされており、公園内の花壇には瑞山の辞世の句が刻まれた石碑や、それにまつわるいくつかの碑が置かれている。


中でも注目したいのが、吹井村(現在の高知市仁井田吹井)にある瑞山の生家を再現したこの石碑だ。
小高い丘にたたずむ家屋や田畑がジオラマのように再現されている。


他にも瑞山とその妻、富子(とみこ)を偲ぶ夫婦石や、「未来への船出」と題された石灰岩であしらわれたモニュメントが点在している。

ちなみに、この花壇の石碑に使われている石灰岩は、近くのはりまや橋小学校(旧新堀小学校)の校庭に埋没していたものらしく、藩政時代に手掘りでつくられた新堀の石垣の一部だという。


商店街東側にはかつて営業していた映画館「菜園場劇場」の遺構がひっそりと佇んでいる。
(私有地のため、許可なく立ち入ることは禁止されている)

昭和32年当時、高知市内には32館もの映画館が点在していたそうで、菜園場劇場もそのひとつだったようだ。

 

それぞれに歴史ある個性豊かな商店


さて、すっかり前置きが長くなってしまったが、ここからは菜園場商店街を実際に歩いてお店をいくつか紹介したいと思う。


電車通りのある南入口から入ってすぐ右手。
「森山製パン所」は古くから菜園場周辺はじめ高知市民から愛されているパン屋だ。
ここの名物は「味付けサンド」。ピーナッツバター、メロンやバナナなどの果物の風味豊かなクリーム、イチゴジャムなどその種類の豊富さから、昔からの常連さんや学生たちに人気がある。


そしてそのお隣の「とり丑(うし)精肉店」。
安心、新鮮でかつ美味しいお肉を提供することをモットーに、こちらも古くから周辺の住民に愛されるお肉屋さんだ。
人気なのは自家製のコロッケ。
こちらの惣菜はすべてお客さんからの注文を受けてから揚げるので、アツアツ揚げたての状態で頂けるのがうれしい。


さらにその向かいにはお菓子の卸業を営む「ぜにや菓子店」。
お菓子屋というだけあって可愛らしいパッケージのお菓子も店頭に並べられている。


これらのお菓子のパッケージのデザインは、なんと店主の清水さん自らが手掛けているそう。


そしてお昼時には手づくりのお好み焼きやお弁当が店頭に並べられ、近隣の住民だけでなく付近で働くOLやビジネスマンからも愛されている。


また、商店街とその周辺には喫茶店「デポー」などの飲食店があり、ちょっとした買い物後の休憩や待ち合わせにはもってこいだ。


その他にも商店街には魚屋、青果店、服飾店、靴屋、文具店、布団店などが軒を連ねている。


都会のガード下のような雰囲気を醸しつつ、味のある田舎っぽさも感じる青果店と鮮魚店の間の薄暗い路地もなかなか渋い。

 

菜園場に吹き始めた新しい文化の風

そして、何より特筆すべきはこの商店街に現れた新たな顔ぶれだ。

厳密に言うと商店街からは少し北に進んだ場所。
住所としては桜井町にあたるのだが、そこにできた2つの新しい施設。


ひとつは、かつてコレンスという洋裁学校のあった建物の跡地に入った同じく「corens(コレンス)」という名のシェアオフィス。


シェアオフィスというくくりになっているが実際には複合施設のようなイメージで、1階には飲食店や雑貨店が入っている。
※画像はコレンス公式HPより引用


そして2階にはエステやサロンピラティス、さらにはギャラリーなどもあるのだ。
※画像はコレンス公式HPより引用

洋裁学校としての役目を終えた施設をリノベーションして生まれ変わった「corens」。
誰もが自由に訪れ、くつろげる場所。アートやカルチャーに囲まれたクリエイティブな空間、今の時代に合った新しいワークスタイルの生まれる場所であるように…そんな願いを込めてつくられた施設だが、ここでは既に新しい文化が芽生え始めているように思う。


コレンスに足を運んだ際には、表に店を構える「アルパカフェ」や、


ナポリピッツァ職人協会の認定を高知県内で初めて受けた職人が腕を振るう「PIZZERIA LIBERTA」に立ち寄るのもいいだろう。


そしてもうひとつは、ちょうど商店街とコレンスに挟まれた場所で、この2月に新たにオープンしたゲストハウス「とまり木 ホステル」。
1階にはカフェバーが併設されており、商店街やコンビニで買った飲食物の店内持ち込みもOKなので、カフェ内でゆっくりいただく事もできる。
※画像はとまり木ホステル公式HPより引用


このカフェは宿泊者も利用するため、地元の人と県外から訪れた人との新しいコミュニティ形成の場になりそうだ。


早くも大学受験や先日開催された高知龍馬マラソンなどの際に利用されているようで、菜園場商店街だけでなく、高知全体を盛り上げるきっかけを生み出す施設のひとつとなりそうだ。
※写真は2階宿泊スペース(最大8名まで宿泊可能)

 

商店街情報

■菜園場商店街
http://saenba.com/

■corens(コレンス)
http://lifecolors.co.jp/correns/

■とまり木ホステル×カフェ・バー
https://peraichi.com/landing_pages/view/tomarigikochi

文/大山祐司