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【高知グルメPro】地元愛されイタリアンから人気の和食屋に夜の〆の屋台餃子までそろう「廿代町」のおススメグルメ6選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2020年3月29日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は高知市の人気ナンバーワンスポット「ひろめ市場」に出店する「司食堂」を訪ねた。
呑兵衛天国「ひろめ市場」に、新たに嬉しい店舗ができた。
土佐料理で絶大な信頼と人気を誇る「土佐料理 司」のセカンドライン「司食堂」である。
早速出かけてきた。
まず最初は何を飲もうか。
ここは土佐らしく、直七サワーといってみよう。
直七は、高知県の西部、宿毛(すくも)の特産品で、ゆずやすだちなどと同じ香酸柑橘類である。
酸味が柔らかで、地元では「酢みかん」と呼ばれて愛用されている。
昔、魚屋の直七さんが魚にかけたら美味しいよと広めたところから、この名で呼ばれるようになったという。
「司食堂」では、生搾りで出してくれ、さらに直七をカットして入れているのは、高知・東京・大阪に店舗を展開している「司」グループの中で、この店だけだという。
実に爽やかな後口が印象的である。
これを片手に魚料理を食べれば、さっぱりとした気分となって、いくらでも魚料理が食べられる。
まずは定番「鰹塩たたき」といってみよう。
おお。身質が滑らかで、噛み込んでいくと血潮の味が広がってコーフンする。
いいカツオである。
続いて、「焼さば寿司」といった。
鯖寿司といっても、あのみなさんが思う鯖寿司を焼いたのとはまったく違う。
鯖は炙りたてであり、それに合わせて酢飯があったかいのである。
その勇壮な味わいは、鯖寿司からすれば、大海に出て日焼けした筋肉隆々の親戚といったところだろうか。
お次は、「鯨ミノ葉ニンニクぬた」である。
鯨のミノだから胃袋か。
ふんわりとした食感で、甘辛く、青い香りとほんのりにんにく香がするぬた味噌が、味の気合を入れて、酒が進んで困る。
次はメニューに面白いものを見つけた。たこ焼き天である。
たこ焼きの天ぷらか?と思って頼んだら、たこ焼きではない。
練り物である。
タコを入れたボール状のさつま揚げである。
「あり」。一口食べて呟いた。
ちょいと庶民的な下品さがあって、クセになる。
こういう他の県では出会えない料理を、片っ端から頼むのは楽しい。
それは次の「鰹コロッケ」もそうだろう。
細かくしたカツオが入れられたコロッケだが、鰹の主張は優しい。
もし言われなかったら、わからない程度である。
さらに「鰹はらんぼ(カツオのお腹の部位で、1匹から1枚、3キロのカツオから40gしか取れない希少部位)」はどうだろう。
普通は焼いて出されることが多いが、こちらは揚げてある。
その熱々に、特製のポン酢をかけて食べれば、むちっとした肉質とカリリと香ばしくなった衣との対比がいい。
次に「刺身かまぼこ」を食べれば、甘みに品があり、うっすらと魚の味が滲んでいる。
創業明治11年になる「永野かまぼこ店」のかまぼこで、実は後継者がいなくて廃業寸前だったところを「司」が救ったのだという。
「司」は土佐料理を伝えていくだけの会社ではない。
こうして土佐をめぐる、あらゆる食文化を継承していこうとする会社なのだ。
そんな思いを感じながら飲む酒は、うまい。
高知県高知市帯屋町2丁目「司食堂」にて