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「南国高知の太陽と日本一の清流のミネラルを受けて育つ、無農薬ぶどうが醸す味わい。希少なワイナリーを訪ねたの巻」食べ歩きスト・マッキー牧元の高知満腹日記 その90

       

この情報は2020年3月8日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は高知・土佐町の希少なワイナリー「ミシマファーム」を訪ねた。

ワインのぶどうにとって、雨は天敵である。

高い気温も天敵である。

成ることは成るが、糖度が増さない、大きくならないなど様々な弊害が出る。

だから南国高知とワインは合わない。

しかも高知は、全国の中でも年間降雨量の多い県なのである。

その雨が多い高知の中でも、日本で一番雨が降るという土佐町で、ワインを作っている方がいた。

「ミシマファーム」の山中敏雄さんである。

元々ご実家がぶどう園を、1960年からやられていたという。

しかし、高知である。

巨峰とあきクイーンを作られていたが、ぶどうを作って売ることが難しかった。

売り上げは、年間10万円ほどで、他で働いた収入で生活をしていたという。

おそらくそれでもお父様は、ぶどうを愛していたのだろう。

息子さんは、そのぶどう愛を受け継ぎ、2018年からワインを醸造することにした。

しかも完全無農薬の完熟ぶどうを作ると決められたという。

多額の自己資金と補助金を使って投資し、直営する店とレストラン、商店だけに卸し、一般販売しない果実酒としての許可をとった。

さらに土佐町が特産品特区として申請し、認められた。

瓶詰め機やタンクは使うが、除梗(じょこう:ブドウの粒だけを取る作業)は手作業で、破砕も足で踏み潰している。

それゆえ相当な手間である。

機械なら30分で終わるところが、15時間かかる。

だが、足踏み破砕の方が搾汁率が高いのだという。

亜硫酸は入るが、最低量で雑菌を殺すために使うが、「自分の体を守るため、ぶどうは亜硫酸を自然に出すんです。選果をきっちりすれば亜硫酸の量が決まります」と、山中さんは語られた。

しかしこのぶどうは、たくましい。

雑草が生え放題でも雨が降っても、昼夜の寒暖差が糖度を増やす。

さらに嶺北地域の水は、2012年の水質調査で日本一の清流となった四国の水瓶の源流域・吉野川水系にあたる。

豊富なミネラルと寒暖差が生んだぶどうが、おいしいワインを醸すのである。

ワインは混醸造で、4500円・税別。

飲めばいやらしくなく、高知の土地らしいおおらかさと伸びやかさがあるワインである。

いつかこのワインと、同じ土佐町にあるイタリア料理店「オンベリーコ」の料理と合わせたい。

飲みながらその日を来るのを夢見ていた。

 

高知県土佐郡土佐町「ミシマファーム」にて

 

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