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【高知グルメPro】高知の山間でいただく店主の人生が醸し出すおだやかな味の定食「好好食飯店 ハオハオスーハンテン」

この情報は2025年3月16日時点の情報となります。

フレンチにエスニック、割烹にとんかつ、居酒屋から立ち食い蕎麦まで、年間700軒食べ歩き、料理評論、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす、食べるプロ「食いしんぼおじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の飲食店・生産者さんをまわって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、高知県香美市の山間にある、「好好食飯店 ハオハオスーハンテン」で好好食飯定食をいただいてきました。

田んぼの中を走ること20数分、こんな場所に飲食店はあるのだろうかと不安になってくる。

高知市内から車でおよそ1時間、そんな山中の集落に店はあった。

車を止めて歩いていくと、「好好食飯店」と、ベニヤ板に白地で手書きされた看板が石垣にかけられていた。

そこから道が丘の上へと続いていく。

店は、山と田んぼを見渡す丘の上にある小さな家である。

上り口で靴を脱ぎ、

「こんにちは」と、声をかける。

すると、

「こんにちは」と、柔らかな笑顔を浮かべた女性が1人で迎えてくれた。

席に座り注文する。

注文するといっても、定食が一種類だけである。

コンコンコン、ジャー。

コンコンコン、ジャー。

厨房から音が聞こえてくる。

料理が奏でる音たちを聴きながら、目の前に広がる里山の光景を眺めて待つ。

時間がゆるりと流れていく。

白湯を飲みながら、料理を待つ。

お客さんは来るんだろうかと心配になるが、そんな価値観で彼女は働いていない。

自分の好きな場所を見つけ、住み、たまに来られるお客様のために料理する。

こんな人生は素敵だ。

さあ料理が運ばれてきた。

1800円の定食は、ご飯、味噌汁、油淋鶏、水餃子 炒め物3種類 漬物、デザートという布陣で、バラエティに富み、量もある。

ご飯は、店前にある棚田米の新米だそうで、甘く香り立つ、いい米である

汁は、沖縄宮廷料理である「いなむるち」という白味噌汁で、蒲鉾薄切り、豚バラ肉薄切り、椎茸が具として入っている。

熱々の汁を飲めば、その豊かな味わいに、心がゆっくりと温まる。

「油淋鶏」は、肉感があって、噛む喜びを生み出し、

「豚エビセロリ水餃子」は、手作りの皮がむっちりとし、セロリの香りが飛び出して、豚肉の旨味が広がっていく。

ごま油が香る、青菜と人参、豆腐の炒めもの、 穏やかな豆腐と卵炒めもの、つぼみ菜、子持ち高菜の炒めもの、辣白菜などの脇役をつまみながら、ご飯を食べる。

折しも、朝の陽光が目の前の窓からさして、料理を輝かせる。

せわしく食べる都会の食事とは違い、噛む回数も多くなり、ゆるりとした気分で味わう自分がいた。

食べているうちに、都会で染みついたと時間の流れは緩み、仕事やしがらみの汗が落ちていく。

デザートの「愛玉子(オーギョーチ、台湾のみに自生する植物を使ったゼリー)」を食べ、ホットオーガニックを楽しむ。

そうしているうち、自分の時間が戻ってくるのを感じた。

ずっと飲食店で働いてきた店主・畑中育代さんが高知に来たのは五年前になる。

以前は神奈川県の葉山に住んでいて、ケータリングなどをやられていたが、飲食店はここが初めてだという。

沖縄に一年いた時、「がらまんじゃく」という古民家レストランで野草料理を食べた時、涙が止まらなくなったという。

その後、高知の山奥で自給自足を営む布作家の早川ユミさんがレシピ本を出すと聞き、そのお手伝いをしたのが店を出すきっかけだという。

今は朝は5時に起きて、その日作ったものをその日に出す。

野菜は農家から仕入れ、米は目の前の田んぼから調達する。

そして自分が過ごしてきた土地の料理を出される。

これは彼女の人生の味なのである。

店舗情報

好好食飯店 ハオハオスーハンテン

住所:高知県香美市香北町日ノ御子730

予約制:ご予約は前日までにお名前、来店日時、人数、連絡先を記入し、InstagramのDMへお送りください

※営業日はInstagramのカレンダーをご確認ください

営業時間:11:00-15:00

Instagram:https://www.instagram.com/haohaosuuhanten/