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「酒飲み天国高知は、ビールもイカしていた。兄弟が作る素敵な地ビールを見つけたの巻」食べ歩きスト・マッキー牧元の高知満腹日記 その83

       

この情報は2020年1月12日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。

呑兵衛王国高知で見かけるのは、圧倒的に日本酒である。

みなさん、数々の名酒蔵の日本酒を、昼から飲んでいらっしゃる。

焼酎やビール、ワイン派もいるが、圧倒的に日本酒派が多い。

この地は、日本酒に浸かっている。そう長らく思っていた。

優れた地ビールを出す「ケーニッヒ」という店があると聞いた時、とっさに思ったのは、失礼ながら大丈夫だろうか?という不安だった。

日本酒好きの土佐っ子にウケているのだろうか。

あるいは店に入ると、やっぱり酒は日本酒じゃ!と、日本酒を飲んでいる人が多いのでないか。

そんなことを勝手に想像していた。

ところが店に入ると満席で、みなさんビールを何杯も飲んでいるではないか。

ビールのジョッキを重ねながら、赤ら顔となり、笑い、大声で楽しそうに喋っているではないか。

こりゃあビール天国である。

聞けばなんと、高知は全国でビール消費量第2位なのだという。

さすが呑兵衛王国である。

店には様々なドイツビールが用意されていて、その日の気分や料理に合わせて、ビアソムリエである店主兄弟が選んでくれるという。

それだけでなく、ビール好きが高じて、自家製のクラフトビールも作っている。

早速、単一ホップで作られているという、ミュンヘナー ヴァイスヴルストを頼んでみた。

うむ。香り高く、コクがあるがキレもいい。

こりゃあ何杯も飲んじゃうな。

つまみも頼もう。

バルサミコ酢とピクルス、ワインビネガーとマヨネーズで味つけたという「ポテトサラダ」は、上からもバルサミコと醤油を煮詰めたソースがかけられていて、その複雑な酸味が芋の甘みを生かしている。

また、マッシュにされた芋の滑らかさとカリカリベーコンとの食感の対比が、実にいい。

楽しくなってきたぞ、ビールをもう一杯。

名物「アイスバイン(塩漬けの豚すね肉の煮込み)」は、豚骨と鶏ガラで煮込んだという味わいが、スネ肉のそれがコラーゲンの甘みと共鳴して、うっとりとなるうまさである。

「アイスバイン」の味わいが、ただ煮込みましたではなく、より深くなっていて、微に細に渡って料理をする日本らしさがある。

シンプルなものをまろやかで深く、しかし、やりすぎない心得がある。

こりゃあドイツ料理屋としても優れている。

東京のドイツ料理店より、考えが奥深いかもしれない。

仕込んだ燻製麦芽と鰹節も入れたという「ハンブルグステーキ」も素晴らしかった。

土佐和牛、四万十米豚、馬肉を混ぜたハンバーグで、肉の猛々しい香りが立って、練り肉のうまさに溢れている。

ドイツ人が愛してやまないソーセージ類も、ドイツ本国で食べたそれと比べても、まったく遜色ない。

日本に住むドイツ人と観光に来たドイツ人は、大至急高知に来るべきである、

料理を食べるごとに、ビールを飲むごとに嬉しくなってくる。

日本酒だけでなく、ビール天国「ケーニッヒ」。

間違いなく、また来ちゃうなあ。

 

高知県高知市新本町「ケーニッヒ」にて