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【高知グルメPro】地元愛されイタリアンから人気の和食屋に夜の〆の屋台餃子までそろう「廿代町」のおススメグルメ6選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2024年9月1日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすフードジャーナリストのマッキー牧元さんが、高知の旨いお店や生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、四万十市中村にあるユニークな店内の「味劇場ちか」にお邪魔してきました。
「味劇場ちか」。
変わった名前である。
しかし店内に入って、その意味がすぐにわかった。
厨房をUの字のカウンターが囲んでいるのである。
つまり料理人の一挙手一動を、間近で、どの席からも見ることができるようになっているのであった。
2階もUの字になっていて、どの席からも上から厨房を見下ろすようになっている。
まさに劇場である。
お勧めは2階席だろう。
今、切っているのは、僕たちの刺身か?
揚げているのは僕らのチーズ?
あの料理はなんだろう?と飽きることがない。
そして、出来上がった料理は1階の厨房から滑車を使って2階に運ばれるのである。
オーブンキッチンの店は数多くあるが、上から料理人が仕事している姿を眺めることができるのはここだけだろう。
さあ料理をいただこう。
「朝どれ川海老塩焼き」を頼めば、意外にこの子たち、身がしっかりしているのね、ということに気づく。
あるいは、土佐市居酒屋定番の「カリカリチーズ焼き」には、エダムを使っているのだろか?
その濃い味がおいしい 「川海老シューマイ」には、素直な甘みがあって、プリンとした食感が楽しい。
いい。
ブリブリ素直な甘み 「焼き鯖寿司」を頼めば、ご飯も焼いてる初めての鯖寿司だった。
なんでも、高知の宴会料理「皿鉢料理」に盛り込んだ鯖寿司が残ると、それを家に持ち帰って焼いて食べるのだという。
京都の鯖寿司とは対極にある野生味が楽しい。
もいか(アオリイカ)の刺身を頼めば、実に分厚く、幅広と細切りの2種類の切り方で出された。
食べやすく包丁目が入れられているが、そのむっちりとした食感が魅力的である。
ポン酢で「カツオたたき」を食べていると、珍しい名前が目に入ってきた。
「ゲジカツオDE揚げワンタン」である。
ゲジとはなんだろうか?
聞けば、カツオの身質は包丁を入れて割って見るまでわからなく、見た目は他のカツオと変わらなくても、身に臭みがあっておいしくないのが、必ずあるのだという。
それをゲジと呼んで、ほとんどは破棄される。
ゲジが多いのが春先で、諸説あるのだが、栄養が足りてない小さなカツオではないかと言われている。
多い時は、10本仕入れて2~3本入っていることもあるという。
だが、ご主人は言う。
「ゲジは、食べずに捨てよった。でも、なんとかしたいと思うて、いろんなことを試してみて、苦労したけんど、味噌を加えることで商品として出せるものに仕上がりました」。
食べるとまったく臭みがない。
油のコクも加わって、おいしい揚げワンタンである。
これでビールを飲むのがいいなあ。
最後に、なんでこんな劇場型の店内にしたのかご主人に聞いてみた。
24歳で店を始めてから50年、74歳になられる近藤 格さんである。
この店ができて30年。設計は東京の設計士 に頼んだという。
その彼が、東京の北区上中里にある岡ちゃん横丁に「おかちゃん劇場」という名前で、同じような作りの店を作っていたのであった。
それが面白く、似たような作りにしてもらったということだった。
店内の席から、全て厨房の進行状況がわかる。
きっと料理人も、見られて発奮するだろう。
見る方も見られる方も、相乗効果で盛り上がる。
あぁ、レストランって、楽しいなぁ。
高知県四万十市中村新町1 丁目39-2「味劇場ちか」にて