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【高知グルメPro】地元愛されイタリアンから人気の和食屋に夜の〆の屋台餃子までそろう「廿代町」のおススメグルメ6選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2024年8月18日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす高知県観光特使でもある、食いしんぼおじさんことマッキー牧元さんが高知の美味しいお店や生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、四万十市中村の昭和ブギウギ酒場「のらくろ」にお邪魔してきました。
昭和ブギウギ酒場「のらくろ」。
この看板を見たときに思った。
酒場というよりスナックみたいなところか。
昭和歌謡がかけられていて、魚料理は高知だからあるだろうけど、あまり期待はできないな。
お酒類も充実していないんじゃないか…。
しかし、その想像はB G Mの昭和歌謡以外はすべて外れた。
メニューを見て、目に疑問符が湧く。
おぼそ?ないらげ?なんですかそれ?
刺身欄に書かれた、初めて見る魚名を、同行した高知の人に聞いたがわからないという。
こういう場合、普通の人なら、この魚はなんですかと尋ねるだろう。
無視して頼まないという人もいるだろう。
だが食欲知的好奇心の塊である僕は、何も聞かずに頼んでみた。
「おぼそ」と「ないらげ」の刺身が運ばれた。
左がカツオで、その右横の奥が「おぼそ」で、手前右が「ないらげ」である。
カツオの刺身は滑らかで、いい。
その次にカツオより赤い肉体の「おぼそ」をいってみた。
おや、その身の赤さから脂は期待していなかったが、中トロのような脂を感じさせるではないか。
しかもカツオより滑らかである、
次に「ないらげ」も、いってみた。
こちらもそのオレンジ色から想像できなかった、コリコリとした歯応えがあり、噛み込んでいくと、ねっとりと歯に舌にからんでくる。
そして同じオレンジ色のサケマス類に似た、優しいうまみがあり、じっとりと脂がのっている。
そこで聞いてみた。
「おぼそ」はスマガツオ、「ないらげ」はバショウカジキだという。
どちらも今では高級魚だが、高知ではこうした魚を気軽な値段で、居酒屋にて食べられる贅沢がある。
これは大至急日本酒だと品書き見れば、滋賀の銘酒「七本槍」があるではないか。
質の高い魚の脂に、米の甘みを醸し出た酒が、ふわりと寄り添う。
連れが頼んだ、小夏サワーやぶしゅかんサワーも香り高くいい。
刺身に気を良くして、焼き魚も頼む。
「白甘鯛の開き」をお願いした。
高級魚である。
都会なら、3〜4万円する割烹のコースでしかお目にかかれない魚であり、東京や京都で頼めば、1匹4〜5千円は取られるだろう。
しかしここでは千円であった。
ふっくらと焼き上がった立派な白甘鯛で、品のある甘さを舌に落とす。
これもまた燗酒だな。
七本槍をもう一本。
さらに気になったメニューを追加した。
「エビグラタン」である。
ただのエビグラタンだったら頼まない。
その上に赤字で「地乳牛乳」と書かれていたからである。
食べれば、ミルクの甘い香りが満載の、心温まるグラタンであった。
ゆるゆるさ加減もいい。
これだけをまた食べに来たいなあ。
さあ、最後のシメはどうしようか。
これまた気になった「石垣鯛のおにぎり」を頼んでみた。
数多くのおにぎりを食べてきたが、石垣鯛は初めてである。
石垣鯛とともに醤油味で炊き込んだご飯を握ったもので、米一粒一粒に鯛の味が染み込んで、なんとも美味しい。
恐るべし、昭和ブギウギ酒場。
田川水泡が書いた「のらくろ」の漫画に似た、のほほんとした人情味と、優れた肴たちが幸せな時間を運んでくる。
よし今度は今夜頼まなかった、なんだかは不明の「ドラゴンロール」や「寿司屋のエビドリア」、「カツオのユッケダレ」を、食べにくるぞ。
高知県四万十市中村大橋通4-16「のらくろ」にて