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【高知グルメPro】体全体がバジルに包まれる絶品ジェノベーゼ!高知市の人気イタリアンが移転新規オープン「バッフォーネ」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2024年1月21日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食おじさんことマッキー牧元さん。マッキーさんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は2023年12月13日に移転新規オープンした高知市の人気イタリアンバル「バッフォーネ」にお邪魔してきました。

そのパスタをひとくち食べて目を閉じると、あたり一面に生い茂ったバジルの畑の中にいた。

爽やかな香りが鼻孔を浄化し、清々しい気分を運んでくる。

ジェノベーゼが復活した。

高知市の中心エリアの追手筋に面した新ビルに、ジェノベーゼが名物だった「バッフォーネ」が移転したのである。

以前より広くなった店内に入ると、店名の由来となったヒゲ(バッフォーネはイタリア語でヒゲの意味)をはやした青野摩周シェフが、コックコートにショートパンツというおなじみの姿で出迎えてくれた。

店内は、新しい店ならではの清潔感があって、明るい。

だが、新しいのに、なぜか前からある店のように見えて、落ち着く。

おそらくシェフの対応やマダムのサービスが、柔らかくこなれているからだろう。

昔からの常連客が多く、家に帰ったようにくつろいで食事を楽しんでいるからだろう。

そんな空気に浸っていると、食前酒をやりたくなった。

客側のカウンターの上には、ずらりとリキュールやスピリッツが並んでいる。

それを見ながら「ガリアーノソーダください」と、頼む。

ガリアーノは、バニラやアニスなど30数種のスパイスやハーブから抽出した、トスカーナのリキュールである。

するとシェフが、厨房の中から声をかけてきた。

「今のと昔のどっちがいいですか?」

「昔ので」というと、ニッコリと笑う。

一時代前のガリアーノを置いているなんて憎いね、こんちくしょう。

大量生産機械化で作る最近の酒は、効率化と均一化を求めて、エキスが薄くなっている。

昔の酒は香りにしろ味にしろ、個性が強い。

様々な香りが溶け込んだ液体は、食欲を刺激する。

シェフによれば、カンパリも古いのを用意しているという。

これはついつい食前酒をやりに来ちゃうな。

さて、胃が刺激されお腹が空いてきた。

「アンテイバストミスト」と「ローストチキンサラダ」を頼み、白ワインをお願いする。

前菜の盛り合わせ「アンテイバストミスト」は、鶏の首肉「せせり焼き」と、タラモサラダ、牡蠣の燻製とその燻製油で焼いた蕪のグリル、コリンキーマリネ。クミンとブラウンマスタードで風味を付けたひよこ豆のスプリット、クリームチーズとミラノサラミのカナッペといった陣容である。

味や香りの違いが楽しく、白ワインが恋しくなる。

そして「ローストチキンサラダ」は、鶏肉もさることながら野菜がうまい。

葉物や紅心大根など、どれも力強い味がする。

まだまだ頼むぞ。

自家製パンドカンパーニュを添えた「はちきん地鶏のレバーバテ」は塩気の塩梅がよく、パンに乗せて食べれば止まらなくなる。

これは赤ワインだな。

プレーン、チーズ、辛いチョリソー、ハーブという四種ソーセージでは、ついビールを頼んでしまった。

塩漬け米豚にマスタードを塗って、パン粉で揚げた「四万十ポークのプティサレ(パンチェッタの煮込み)パン粉焼き レンズ豆添え」は、口に入れればホロリと崩れ、マスタードの酸味と塩によって引き出された豚の甘みが広がっていく。

そして何より下に敷かれたレンズ豆の甘みに、豚の味が染みていてうまい。

こいつは白ワインだな。

そしてパリパリとした薄生地のローマ風ピッツァを食べて、本命ジェノベーゼがやってきた。

鮮やかな色合いである。

おそらく他店よりたっぷりとバジルを使っているのだろう。

だからこそ、食べた瞬間に、バジル畑へと連れて行かれるのである。

シェフに「ジェノベーゼ美味しかったです。もう口も鼻も、胃袋も、体全体がバジルに包まれた感じになりました」と、告げると
「ファームべジコのバジルと出会ったからです。本当に感謝しています」と、シェフは答えられた。

28年目を迎え、新装開店となった「バッフォーネ」は、生産者との出会いと感謝があったからこそ今がある。

いまパスタは、「ジェノベーゼ」しかないが、今後高知の素晴らしき食材を使ったどんなパスタが登場していくのか、楽しみである。

高知市追手筋1丁目4-17 ビウェル追手筋1F「バッフォーネ」にて