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【高知グルメPro】市場の胃袋を満たし続けて50年!一番人気の「激辛四川ラーメン」から「刺身」に「ハンバーグ」まで大満足「中央市場 上海」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2023年9月24日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、テレビ、ラジオ出演や料理評論、紀行、雑誌寄稿を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は高知市の中央卸売市場にある中華「上海」にお邪魔してきました。

朝3時より開店する、高知市の中央卸売市場にある「上海」にやってきた。

店名は「上海」なのに四川料理である。

「いらっしゃい!」

店に入ると、店主・竹内宣夫さんの大きな声が響きわたる。

50年間も市場で働く人々の胃袋を満足させてきたこの食堂の名物は、「激辛四川ラーメン」だという。

店の一番人気で、ほとんどの客が頼むだけでなく、わざわざこれを目当てに来る人がいるという。

早速食べてみたいところだが、戦略としてはいきなり「激辛四川ラーメン」には行かずに、周辺から攻めてみることにした。

前菜はどうしようか。

実はこの店、町中華としての料理だけでなく、定食屋も兼ねている。

店内の冷蔵庫には、「さあ、たくさんご飯食べてね」と、様々な料理が入っている。

まず刺身かな。

マカロニサラダも、もらっておこう。

なにやら具が入っただし巻き卵もハンバーグも行ってしまえ。

朝からミニ宴会である。

朝でなかったら確実に飲んでいる。

刺身は、ビンチョウマグロで、なめらかな身質がうまい。

そりゃそうだ、ここは魚を扱う市場、質の高い魚しか出せないものね。

マカロニサラダもハンバーグも安定の味わいで、ついご飯を頼みたくなったが、グッとこらえた。

具入り玉子焼きを食べてみたら、中の具材はうなぎの蒲焼、つまり「う巻き」であった。

朝から「う巻き」が食べられるなんて、憎いねこんちくしょう。

さあ調子が上がってきた。そろそろ激辛ラーメンといくか。

いや、その前にオーソドックスなラーメンを食べてみよう。

湯気を立てて運ばれたラーメンには、懐かしい風景がある。

モヤシが乗り、シナチクが入り、その下には煮豚が見える。

堂々たる昭和の眺めである。

おそらく50年間微動だに変わってない味なのだろう。

コクリとした醤油味が濃く、そこに中細のカンスイ入りの黄色麺がからむ。

煮豚もシナチクの配置もいい。

さあ、それではいよいよ「激辛四川ラーメン」といってみよう。

溶岩なような、真っ赤な湖に沈んだ野菜や麺が見え隠れする、壮絶なラーメンが運ばれた。

真ん中に黄身が落とされているのが、唯一の救いである。

顔を近づけるだけで、目がしばしばするほどの辛い湯気が登ってくる。

スープを一口。

最初に感じたのは、旨味である。

しかし、すぐその後から辛味がやってきた。

唇、舌、上顎、喉と、口腔内のあらゆる粘膜に張り手を食らわす。

真ん中の黄身を潰し、これに麺を絡めてすすってみる。

これはいい。

黄身の甘みがまず広がって舌が和らぐと、その少し後に強烈なる辛さがやってくる。

撫でられてから殴られているような、ツンデレなれぬデレツンな感覚があって、これはハマるに違いない。

布陣は、唐辛子、辣油、胡椒、白菜、ネギ、豚肉、イカだが、すべて辛さの中に埋没している。

食べているうちにこのスープを、飯にかけてもおいしいかもしれないと、白ご飯も頼んでみた。

ああ、これはいい。

ご飯の甘みが辛さを少しだけ吸収して、いい塩梅になる。

さらには、スープの底に沈んでいた、肉やイカなどをサルベージできるという良さもある。

このラーメンはご飯必須です。

市場の人はこの辛さで、働いて疲れた体に喝を入れるのだろう。

これを食べてしまったら、他の辛いラーメンなど、土佐弁の言うところの「たっすい(≒弱々しい)」に違いない。

癖になり、常習化する人がいるに違いない。

激辛を食べ終え、余韻の辛味を消火するために炒飯も頼んだ。

塩味は薄いが白胡椒が強く、醤油をほぼ感じさせぬ炒飯はあっさりとして、燃え盛った舌や唇をそっと鎮めるのだった。

そうして、ひとしきり「激辛四川ラーメン」の辛さが和らいだと思ったすぐさま、不思議とまたあの辛さが恋しくなっているのだ。

高知県高知市弘化台 高知中央卸売市場内「上海」にて