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大阪からの移住成功の秘訣は「変化への柔軟さ」高知県大豊町「みどりの時計台」野田由美子

       

この情報は2022年4月21日時点の情報となります。

画像提供:学校に泊まろう!みどりの時計台

大阪から高知に移住した野田由美子さん。現在は、高知県大豊町で廃校になった小学校を、「学校に泊まろう!みどりの時計台」という名で宿泊施設として運営中。そこで校長を務める野田さんは、ご本人も移住者ということで高知で暮らしながら移住者支援も行っています。

そんな野田さんに、移住の経緯や移住後の暮らしぶり、施設のことについてお話を伺いました。

好きなことから始まる移住への道

画像提供:学校に泊まろう!みどりの時計台

─高知へ移住されたきっかけを教えていただけますか?

野田さん:ウインタースポーツが好きで、大阪に住んでいた頃はスキーウエアショップで働いていました。当然ですが、スキーウエアの需要があるのは冬。夏は閑散期になります。「暇だな」と思ったときに、たまたま買った雑誌に「吉野川のラフティングガイド募集」という記事が載っていたんです。

ラフティングとは、ゴムボートに乗って川を下るアウトドアスポーツです。ガイドとしてトレーニングを受けながら夏のアウトドアスポーツを楽しめるチャンスだと思い、さっそく申し込みました。

─ラフティングがきっかけだったのですね。ガイドの資格を取得されてから高知に移住されたのですか?

野田さん:いきなり移住したわけではないんです。当初は「移住」という言葉すら聞いたことがなかったので、週末だけ高知に行ってガイドをする生活をしていました。とにかくワクワクドキドキするラフティングにのめりこんでいたんですよ。

ところが、だんだん大阪に戻るのが寂しいと感じていくようになって。週末だけでなく「ラフティングのシーズンは高知で暮らしてみたい」、その次は「高知で家を借りてみたい」……と、徐々に高知で暮らす割合が増えていった感じですね。

大半の人は移住するために先に住むところを探しますが、私の場合はラフティングという好きなことがあって、そのために移住していったという流れです。

変化を柔軟に受け入れることも移住には必要

画像提供:学校に泊まろう!みどりの時計台

─廃校になった小学校を利用した宿泊施設「学校に泊まろう!みどりの時計台」を始めたきっかけを教えていただけますか?

野田さん:移住するとなると、やはり仕事がないと困ります。当初はラフティングガイドをしていましたが、やはり季節性の仕事のため、シーズン以外の時期は暇になるんです。

何か仕事を探さないといけないなと思っていたとき、大豊町には廃校になった校舎が空き家になってたくさん残っていることを知りました。校舎を利用して、宿泊施設を作ったらどうだろうと思ったのがきっかけです。

─なぜ宿泊施設にしようと思ったのでしょうか?

野田さん:大豊町には宿泊施設がなく、ラフティングで来られたお客さんは高知市内や徳島まで行かなければ泊まるところがありませんでした。せっかく大豊町に来てくださったのに、泊まるためだけにわざわざ遠くまで移動するのはもったいないと思っていたんです。

空き家になっている校舎を利用して、気軽に宿泊できる施設を作ったら喜んでもらえるのではないかと考えました。

画像提供:学校に泊まろう!みどりの時計台

─そうだったんですね。ラフティングをめいっぱい楽しんで、そのまま泊まれるのは嬉しいですね。施設をつくってから反響はいかがですか?

野田さん:ニーズにピッタリはまった感じでしたね。それまでは、ラフティングだけの通り道だった大豊町が観光の拠点となりました。

現在、私は、ラフティングガイドの仕事は引退して、宿の運営をメインに活動しています。同時期から、移住支援に携わるようになりました。田舎に移住する方のほとんどが、「農業か林業に転職するしか仕事がない」と考えて来られます。

でも、実際に来てみると、インターネット関係などそれまで田舎になかった仕事のニーズが高かったりして。結果的に、移住する前にしていた仕事をいなか風にアレンジして継続されたり、起業されたりしている方も多いです。

─野田さんも、当初はラフティングガイドでしたが、いまは宿の運営にお仕事が変化していますね。

野田さん:移住の際に、最も重要視されがちなのが仕事ですが、今の時代、転職は普通になってきたじゃないですか。だから移住してからも、変化していいと思うんです。変化を受け入れて、柔軟に対応するのが移住で大切なことかな、と。そういったことも伝えられたらいいと思っています。

どんな環境でも生きていけるようになりたい

画像提供:学校に泊まろう!みどりの時計台

─移住してよかったと感じることはありますか?

野田さん:大豊町は自然と共存している地域で、そこにすごく魅力を感じていますね。自然の厳しさはあるけれど、それに対して大豊町に住む人たちはいろいろな知恵や技を使ってうまく暮らしているんです。自分も大豊町の方たちのように、どんな環境でも生きていけるようになるのが目標です。

─自然と共存ですか。素敵ですね!

野田さん:私、子供時代に過ごしていたのが富山なんです。富山も自然が多い、いわゆる田舎。私にとって自然の中で暮らすことは当たり前で、高知へ移住して自然の中で過ごすこともとくに不自由を感じていません。

けれど、ラフティングという自然の中で行うアクティビティをするようになって、自然に対しての想いが変わりました。自然がある環境は当たり前のものと感じていたのが、自然を大切にしなければいけない、どうすれば自然を守れるのかといったことをより真剣に考えるようになったんです。環境破壊が進んでいることは問題です。

移住で変わった人生の歩み方

─高知の魅力はどういったところだと思われますか?

野田さん:ひとくちに高知といっても、場所によって全く環境が異なるところがおもしろいなと感じています。一般的には暖かい気候とひとくくりにされがちですが、高知って東西南北に広がっていますよね。だから、寒い時期になれば、大豊町では雪が降ったりもする。それぞれに文化も違うし、変化に富んでいるのが魅力ですね。

─高知に住んでみて、心境の変化は何かありましたか?

野田さん:移住してきて失敗や大変なこともいっぱいありました。でも、たくましく暮らしていらっしゃる高知の方たちをみて、私もそうでありたいと思ったんです。自分の人生は自分で切り拓くものだな、と。

今までとは視点が変わって、何かにやりがいを持って過ごすことが人生を全うすることなのかな、など、「自分がどう生きていきたいか」について考えるようになりました。

─野田さんのように、移住して視点を変えたいと思っている方がいらっしゃると思います。高知へ移住したいと考えていらっしゃる方に何かメッセージはありますか?

野田さん:高知だけじゃなく田舎に移住したいのならば、何かひとつ、その地域で好きなものを見つけてほしいな、と思います。移住は楽しいですが、もちろん大変なことやつらいこともたくさんあります。ときには「帰りたい」と思うこともあるでしょう。

でも、移住先に何かしら好きなものや好きな場所があれば、それを励みに頑張れるのではないでしょうか。たとえば「高知の海が好きだから、この景色が好きだからこの場所にきたんだ」と、自分自身にとって心の支えになるのではと思っています。

移住は、一生に一度あるかないかの大きな決断です。せっかくなら困難を乗り越えて、楽しく暮らして欲しいと私は考えています。

施設情報

画像提供:学校に泊まろう!みどりの時計台

学校に泊まろう!みどりの時計台

事業内容:宿泊施設

校長:野田 由美子

創業:2006年7月

住所:高知県長岡郡大豊町川口665

URL:http://midorinotokeidai.com/

電話番号:0887-72-0202

営業時間:チェックイン16時以降/チェックアウト翌朝10時