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カツオ人間から新規開店のお知らせ!大阪梅田の『KITTE大阪』に高知のアンテナショップ「SUPER LOCAL SHOP とさとさ」がオープン!
この情報は2021年12月12日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食おじさんことマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、数ある高知の店の中でも、カツオの刺身の概念が変わるとマッキーさんに言わしめた「ゆう喜屋」を訪ねました。
「高知に今度行くんだけど、どこかおいしいところ教えてください」。
近年、知人や友人から、そう聞かれることが多くなった。
その時、真っ先に教えるのが、ここ「ゆう喜屋(ゆうきや)」である。
高知を旅する初心者にとって、まず食べ物でイメージするのは鰹のタタキだろう。
高知を代表する料理で、街を歩けばどの店も鰹のタタキを置いてある。
それらの店は東京で食べるそれより、質は高い。
だが、その中で「ゆう喜屋」は図抜けている。
この店を紹介する時、僕は必ず言う。
「カツオの刺身の概念が変わるから」。
実際何人もお連れして、みなさん食べた瞬間に、目を丸くしながら崩れ落ちた。
「カツオの刺身嫌いだったんです」という人も、幸せによがりながら崩れ落ちた。
6月が一番いいが、どんな季節であれ、どんな天候であれ、ご主人は最高のカツオを用意して、料理してくれる。
それは一種の魔法であるとしか思えない。
この11月に訪ねた時も「銀皮作りでお願いします」と、注文した。
すると、「今日のカツオは皮が硬かったので、半分皮を引いて銀皮にしました」と言って出してくれた。
この辺りが憎い。
カツオを知り尽くしたご主人だからこそ、なせる技である。
食べれば、モチモチとした食感で、脂がねっとりと乗っている。
たたき造りではないので、カツオのカツオたる血潮の香りが口に広がって、鼻に抜けていく。
それはもう、コーフン以外の何物でもない。
こうしてカツオで十二分に満足できるのだが、この店の魅力はそれだけではない。
どの魚を頼んでも驚きがある。
息を呑む。
そういう表現があるが、「ゆう喜屋」で刺身が運ばれた瞬間、まさにそれが起きる。
美しい。
手をつけることを躊躇わせるような、毅然とした美しさが息をしている。
もう何回もこの店に訪れた。
何回も刺身を食べた。
だが毎回、刺身が登場するたびに、息を呑むのである。
カンパチは、もっちりとして品のある脂を舌に広げる。
アジは、こんなに身の張ってるアジを食べたことはないと思うほど、歯に食い込み、自らの命の甘みを爆発させる。
アコウは、シコっと弾んだ後にモチモチとした食感が続き、噛んでいくうちに甘みが膨らんでいく。
カツオのハランボ焼きは、一噛みした瞬間に「うまいっ」と叫ばせる力がみなぎっている。
アコウのあら炊きは、煮込まれてもなお爆ぜていて、肉体のたくましさを誇りながら、口の中でほぐれていく。
そう。
「ゆう喜屋」の魚は、どれも爆ぜている
生きてきた喜びを発露させ、我々の味覚に迫ってくる。
黒潮に乗って高知沖にやってくる魚たちの力を、嫌というほど思い知らされるのである。
高知の海への感謝が湧き上がる瞬間がある。
だからこそ、高知に訪れて、この店に行かないという選択はないのだ。
高知県高知市帯屋町1丁目「ゆうき喜屋」にて