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【高知グルメ】「珈琲の魅力を伝えたい」薬剤師でもある店主の想いが詰まった「気ままに珈琲」ほっとこうちオススメ情報
この情報は2020年5月24日時点の情報となります。
読者の皆様、いつも「高知家の〇〇」をご愛読いただき感謝申し上げます。高知家の〇〇編集部です。
このたび、立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きスト・マッキー牧元さんが寄稿してくださっている「高知満腹日記」が、連載100回を迎えます。
100回記念として、高知の旨い店旨いもの、生産者さんを西から東まで訪ね歩いたマッキー牧元さんの人気記事、ご自身のお気に入り記事を、改めてご紹介しますので是非ご覧ください。
最近読者になっていただいた方も、最初から読んでいただいている方も、楽しんでいただけると思います。
また、100回記念特別企画もご用意しておりますので、こちらもお楽しみに。
今回は、そんなグルメなマッキー牧元さんが、プライベート旅行でも食べに行ったというお店を紹介します。
キンメ丼である。「室戸キンメ丼」である。
今や高級魚になったキンメがどっさりと乗った丼である。
ご飯の上、手前に控えしは分厚く切られたキンメの刺身、そして奥左がカンパチ、右がハガツオで、一番奥におわしますは、キンメの照り焼きである。
まずこれは、どうあってもキンメの刺身からだろう。
むにに。歯が柔らかいキンメに入ると、脂ののった身から甘みが流れ出る。
深海魚であるキンメは、都心で食べると脂がだらしなく、焼いたり煮たりするのはいいのだが、刺身にすると脂が舌に残る感じがある。
しかし、すぐ目の前の深海から今朝上がったばかりのキンメは、脂がしまっていて、この魚の生命力の高さを痛感させるのである。
顔がにやけてたまらない。
すかさずご飯をかき込めば、魚の脂とご飯の甘みが渾然一体となって、また顔が、どうしようもなくにやけてしまう。
カンパチもハガツオの刺身も、極めて質が高い。
さあ最後は、照り焼きである。
甘辛い味付けで焼きつけられたキンメには、しつこさが微塵もない。
鮮度が高いからだろう。
優しく、心を和ます。
そしてこれも無性にご飯が恋しくなる味である。
さあ、まだこれで終わらない。最後は茶漬けといってみよう。
この時のために、刺身と照り焼きを一つずつ残しておいた。
キンメのだし汁をかける。
汁の熱で少しだけ刺身の色が変わった頃を見計らって、いく。
ザブザブザブ。
ああ危険です、この茶漬けは危険です。
丼つゆと滋味に富んだ出汁が合わさって、箸が一気に加速する。
あとは一気呵成、ごちそうさま…とはならないんだなこれが。
キンメしゃぶしゃぶも頼みました。
「マンボウのフライ」も、
サワラやハガツオ、ムツにカンパチ、本鮪にかつおたたきにキンメなどが乗った、「室戸海鮮丼」も頼んでしまいました。ガハハハ。
「マンボウのフライ」なんて、他では食べることが叶いません。
食べれば、意外にも筋肉質で、味は淡く、ほんのり甘みが乗っている。
例えれば、親鳥の胸肉に似ているだろうか。
そして、キンメしゃぶしゃぶである。
キンメの刺身を熱々の出汁に浸してやる。
色が少し変わってきたところが食べごろで、何回かやった結果、ベストは6秒という結論となった。
ちなみに出汁に入れても動かしてはいけない。
箸でつかんだまま6秒待ち、静かに引き上げる。
ほうら、どうです。うっすらと肌が白くなって色っぽい。
生でもない、加熱されたキンメでもないその間にいる、モラトリアムの味といいましょうか。
何か切ない味わいに、胸が突かれる。
野菜を入れていくと、野菜の甘みが出汁に出て、それがまたキンメの脂と呼応しあう時間もたまりません。
最後の締めはそうだな。ご飯をぶち込んで雑炊といきましょう。
あとはお腹をさすって、幸せに満ちた時間の余韻を楽しむだけ。
割烹「花月」は、竜宮城だとしか思えません。
高知県室戸市室津「料亭 花月」にて
※営業時間等につきましては、直接お店にお問い合わせください。