グルメ
【高知グルメPro】どんぶりでかき込む旨さ!鰻丼にうなぎのタタキに天ぷらまでいただける「鰻屋 成八」食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記
この情報は2020年5月10日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は高知市梅ノ辻に店をかまえる「鰻屋 成八」を訪ねた。
※こちらの店は移転しました
鼈甲色に輝くうなぎが、運ばれた。
思わず喉がなる。
焼き方にムラも、焦げもない。
食べれば、脂のしつこさがなく、香りに乱暴がなく、川魚特有の身の柔らかさと淡い旨味を噛み締め、しみじみ「うまいなあ」と呟く。
妙な筋もなく、ふんわりと崩れると、甘い脂の香りが立ち上がって、顔をだらしなくさせる。
高知は、かつてうなぎの養殖が盛んだったこともあって、鰻屋が多い。
何軒も出かけたが、おそらく高知で一番ではなかろうか。
ご飯は正しく固く、柔らかなうなぎを盛り上げ、一気呵成に行ける鰻重である。
ご飯へのタレのかかり具合も、ちょうどよく、お新香はうなぎの味を一旦切るのに適した奈良漬で、肝吸いは淡く品がいい。
山椒は置いてない。
代わりにわさびを醤油漬けしたものがある。
聞けば、ご主人は、小さい頃から山椒使って食べてない。
臭みがないうなぎなので、臭みを消す必要がなく、わさびを使う。
鰻重の前に白焼きをいただいたが、これも表面がカリッと均一に焼かれて、味はふんわりとした、上等な白焼きである。
わさび醤油につけて、燗酒とやったら、もうたまらない。
すべてが、鰻重とはこうあるべきだということを知悉(ちしつ)した仕事である。
ご主人に聞けば、「美味しそうな焼き目は入れますが、焼きが入っていたら、焼き目はいらないとおもいます」。
そう静かに話された。
タレのかかり具合も程よい
元々親戚が、養鰻場をやられていたという。
お父様もそんな関係で、うなぎの卸しをやられ、焼き加工もやられていた。
だが、お父様は鰻屋 をやりたかったのだという。
仕事を手伝いながら、ご主人は自分の代になって父親の夢を実現させたのである。
愛を元手に始められた仕事には、誠実がある。
それを感じさせるうなぎだった。
高知県高知市梅ノ辻「鰻屋 成八」にて