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【高知グルメPro】ボリューム満点!中華に洋食に和食までメニューの数75種 地元愛されレストラン「スワロー会館」フードジャーナリスト・マッキー牧元の高知満腹日記
この情報は2024年9月29日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチ、エスニック。スイーツにうどん、居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすフードジャーナリストのマッキー牧元さんが、高知の旨いお店や生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は閉店を経て、高知市中心エリアの繁華街に移転して再開された「鰻屋 成八」にお邪魔してきました!
かつて日本一の養鰻を誇った高知には、多くの鰻屋がある。
これまでに10軒は訪れた。
その中で、「高知は、かつてうなぎの養殖が盛んだったこともあって、鰻屋が多い。何軒も出かけたが、おそらく高知で一番ではなかろうか」と書いたのが、この「鰻屋 成八」だった。
場所は、高知市内でやられていたが、閉店したと聞いて残念に思っていた。
ところが、高知市の繁華街の中心部に移転して再開したというではないか。
これは、行かねばならない。
店に着くと、店頭には「天然鰻」という文字が輝いていた。
以前は天然は扱っていなかったが、移転されてから始められたようである。
ちなみにお値段はと聞くと、8千円から1万円だという。
高騰が続く天然物だが、「午前中に売り切れてしまいました」とご主人は言われた。
うむ、高知にも天然うなぎなら大枚を払ってでも食べたいという、うなぎ好きがいるのだな。
メニューを見ると、鰻重だけではなく「鰻丼」4000円があるではないか。
丼好きとしては、頼まなくてはいけない。
やがて現れた丼は正当な錦手の器である。
いいねえ。
蓋を開けると、鼈甲色に焼かれたうなぎが、丼にすっぽりと収まっている。
丸い丼に四角いうなぎが収まっている様子がいじらしい。
焼き方にムラも焦げもなく、美しい。
この姿だけで、いかにご主人が神経を使って焼かれているのかがわかる。
蒲焼きに焦げはいらない。
この美しさこそ、食欲を掻き立てるのである。
「美味しそうな焼き目は入れますが、しっかり焼きが入っていたら、焼き目はいらないと思います」。
以前、ご主人がおっしゃっていた言葉を思い出した。
食べれば、脂の香りにしつこさがなく、身の柔らかさの中から淡い旨味が滲み出る。
ふんわりと崩れると、甘い脂の香りが立ち上がって、顔をだらしなくさせる。
高知の地焼きの特徴である、皮がカリッと焼かれているのが、美味しさを膨らませる。
その凛々しい皮の食感と、柔らかい身の対比こそが、蒲焼きを食べる醍醐味だと思う。
硬めに炊かれたご飯もいい。
タレもしつこくなく、ご飯へのかかり具合も、ちょうどよい量である。
お新香は、うなぎの味を一旦切るのに適した奈良漬だけが添えられているのも嬉しい。
さあ、後は一気に掻き込もう。
鰻重の場合は、テーブルに置いて、箸でご飯やうなぎを持ち上げて食べる。
だが丼は片手に持ち、口を丼の淵につけてかき込める。
手に重さを感じる感覚、器に口づけした唇の感覚、うなぎにより近くなった鼻に漂う香り。
鰻重にはない様々な感覚が押し寄せて、よりコーフン度が高くなる。
あとは鼻息を荒くしながら、掻きこむだけである。
皮の食感が凛々しく、嫌な匂いもないので、皮を下側、つまり皮を下の歯に押し当てて噛んだのちにご飯を食べるやり方がおすすめである。
鰻丼を食べ終え、再びメニューを見ると、面白い料理があったので頼んでみた。
「鰻のタタキ」である。
湯引きしたうなぎをポン酢で食べるのだという。
蒲焼と違い、身がしこっとしている。
ポン酢につければ脂分を緩和し、こりゃあ大至急日本酒だ。
続いて「尾身の天ぷら」1800円もいってみた。
サクッとあがった天ぷらで、噛み締めていると,どんどん旨みが出てくる。
うなぎの天ぷらというと、うなぎの脂とぶつかってしつこそうだが,尾っぽの身だからしつこくない。
こいつはビールだな。
こういう肴とお酒で、「蕎麦前」ならぬ「うな前」を決めて、鰻丼で締める。
いやぁ、実に粋じゃありませんか。
高知県高知市帯屋町2丁目2−20「鰻屋 成八」にて