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2026年 新年あけましておめでとうございます!本年も高知のグルメ・観光・イベント盛りだくさんの「高知家の〇〇」をよろしくお願いします
この情報は2026年1月14日時点の情報となります。


幡多郡大月町小才角(こさいつの)は、四国の西南端にひっそりと息づく、小さな入江の集落だ。
海と山とが、恋人同士のように寄り添いながら、互いを引き立て合っている。
湾は穏やかで、朝になると鏡のような水面に、漁船の影と薄い靄がゆらめく。船底を撫でる波の音は静かで優しい。
集落の小道を歩けば、目に入って来る家々の風景の中に、人々の暮らしの歴史が静かに息づいている。
腰を下ろして潮騒に耳を澄ます。時間の流れがゆるやかになっていく。

「二神モータース」は、そんな風情ある地域にある。
オーナーの二神雄一さん(76)が37年前に開業した。
「海沿いの国道321号の開通に合わせて、今の場所に工場を開業しました。父の代は地域の自転車店だったんですよ」

それ以来ずっと、地域に寄り添う自動車整備工場として、住民の車のお世話をしてきた。
経営信条を質問しても、
「そんなものはありません。ただ、修理をしていただけですから」
と謙遜するが、「地域密着」の経営姿勢は、その日常生活に色濃く現れている。
仕事以外でも色々な地域の役回りをたくさん引き受けてきた。
最も記憶に残っているのが消防分団の仕事。2001年に県西部を襲った「高知県西南豪雨」の際には、小才角地域も大きな被害を受けた。当時は消防団の副分団長として、地域内を駆け回った。

災害から一カ月ぐらいは、修理の仕事は全くせずに、被災地の復旧に専念したという。
「この地域で死者が出なかったことが救いです」と振り返る。
そうした地域活動と堅実な仕事が相まって、二神モータースへの地域の信頼度は高い。
ただ、二神さんには後継者はおらず、年齢的に廃業も視野に入ってきた。
「身体に悪いところはなく元気なので、あと数年は続けられるが、その後は…」と第三者への売却を考え始め、ネットを通じて広く募集することにした。

整備工場(約240㎡)と同じ敷地に自宅(約100㎡)があり、空き地を含めた敷地面積は約370㎡。これらの一括売却が希望。
整備工場内の設備や機器、道具類なども付けてくれるそうだ。もちろん、取引先や顧客名簿なども引き継いでくれるし、地域への紹介もしてくれる。

「小才角は、人に優しい地域。地元の人と仲良く交流しながら、仕事をしてくれる人が引き継いでくれたらと思います」
二神さんは柔和な笑顔でこう話し、整備工場前に広がる海を見つめた。

小才角の風景には、観光地のような華やかさはない。だが、そこには「日々の静けさ」という、今では貴重な贅沢がある。
風が頬をなで、波が岩を叩くたびに、「生きる」という営みの原点を思い出させてくれる。
この地で地元と深く交わりながら、人々の足となる車の整備を受け持つことは、都会の整備工場と全く違う生きがいを得られるはずだ。
店舗情報
住所:高知県幡多郡大月町小才角457

経営は上手く行っているのに、後継者がいないために廃業せざるを得ない――そんな悩みを持つ企業が全国的に激増し、大きな社会問題になっている。
高齢化先進県である高知県は全国に輪をかけて、事業承継の課題が山積している。
「県内での事業承継を少しでも増やしたい」。このコーナーは、事業を譲りたい人と受け継ぎたい人を繋ぐ連載です。
高知県事業承継・引継ぎ支援センター
電話:088-802-6002
メール:kochi-center@kochi-hikitsugi.go.jp
担当:藤井、野本