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「現場発」のIT技術革新!四国銀行のシステム部が全国から注目される理由

この情報は2026年1月8日時点の情報となります。

    全国から注目される四国銀行の取り組み

    ATMでの振り込みや窓口での各種手続き。

    銀行業務と聞いて、多くの人が思い浮かべるのはこうした日常的な光景だろう。

    少し前までは口座開設や住所変更といった手続きは紙に手書きで行われるのが当たり前だったが、現在ではタブレット端末を使って入力するようになっていたり、アプリから各種手続きができたりと金融機関におけるデジタル化はこの数年で急速に進んでいる。

    この記事で紹介するのは、こうした業務の裏側で稼働しているたくさんのシステムを維持管理している、四国銀行のシステム部だ。

    そのシステム部が、いまIT業界で注目を集めている。

    注目の理由は、地方銀行としては珍しい「システムの内製化」に取り組んだことから。

    Amazon社が主催する大規模ITイベントでスピーカーとして登壇するなど、全国的にも異例な取り組みを行うシステム部で話を伺った。

     

    現場の声から始まった「振り込め詐欺防止」への挑戦

    四国銀行システム部は、銀行業務を支える各種システムの導入・保守・改善などを担っている。

    四国銀行で導入されている行内AI「AI of Konai(通称:アイコ)」も、システム部が中心となって進めてきた取り組みの一つだ。

    行内で安心して使えるIT環境を整えながら、業務効率化を図っている。

    注目のきっかけとなったのが、振り込め詐欺を未然に防ぐためのシステムを「行内で開発した」ことからだ。

    開発の中心となった一人が、システム部の厚海悠貴さん(写真左)だ。

    -振り込め詐欺防止のシステムを開発されたとのことですが、どうして行内で開発することになったのでしょうか。

    厚海さん:2024年1月に、「生成AIを活用した業務改善のアイデアコンテスト」が行員を対象に実施されました。そこで、窓口業務に携わっている行員から、振り込め詐欺防止のアイデアが寄せられたんです。そのアイデアを見て、上司と私で「これ実現できるかも」と話したことが始まりです。

    Amazon社が提供しているクラウドコンピューティングサービス「AWS(Amazon Web Services)」を使用して、開発が始まった。

    システムの仕組みはこうだ。ATMで携帯電話を使いながら操作している様子をAIが検知すると、営業店に通報が入る。行員がすぐにATMへ向かい、利用者に声をかけることで、被害を未然に防ぐというもの。

    最初は、パソコンと手作りのランプを使った、簡易的な検証からのスタートだったという。

    厚海さん:ATMを操作しながら携帯電話で通話をしている動作をAIが検知できるのか。カメラの前で何度も同じ動作を繰り返し、分析精度を高めていきました。検証結果を部内や行内のIT分科会で共有すると、反応は上々でした。

    「実際に使えそう」そんな声が次第に広がり、店舗で使えるシステムにしようという流れになっていった。

     

    約9か月で完成、そして全国から注目される存在へ

    夏から秋にかけては、実際の店舗設置を想定した設計へとブラッシュアップ。冬には支店にカメラを設置し、実運用を見据えたテストが行われた。

    開発期間はおよそ9か月。通常業務の合間を縫って進められた、まさに“内製”ならではの取り組みだった。

    このシステムは社外からも高い評価を受けている。

    AWSを活用した内製化の事例として、2025年6月にはAmazon社が主催するIT関連展示会「AWSサミット」でスピーカーとして登壇した。

    約400人が集まる会場は、立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。

    その後も9月、11月と計3回の登壇を果たし、他行から「ぜひ導入したい」という声も寄せられている。

    銀行の内製システムの取り組みが、全国規模のITイベントで紹介されるのは珍しいことだ。

    地方銀行の現場から始まったこの挑戦に、業界からは驚きと賞賛が集まっている。

    厚海さん:今回紹介したシステムはまだ検討段階で、実際の運用までには改善しなければいけない点があります。今後もいろいろな案件にチャレンジしながら、銀行の業務改善に努めていきたいと思っています。

    現場の課題に正面から向き合い、形にしてきた四国銀行システム部。その挑戦は、銀行におけるITの可能性をこれからも広げていくことだろう。

     

    文/長野春子