【高知家の後継者募集】地域の生活とコミュニティを守る地元商店を引き継ぐ 高知県大豊町「西村ストアー」
この情報は2025年12月4日時点の情報となります。


ここは滝の音がよく似合う場所だ。
谷を抜けて流れ下る水は、山の息づかいをそのまま映したように透明で、夏の日差しを跳ね返しては白い筋を描く。
朝は霧が谷底から立ちのぼり、まるで山そのものが眠りから目を覚ますようだ。
午後には風が抜け、木々の葉がきらりと裏返る。そのたびに、山が呼吸をしているのを感じる。
今回の主人公、「西村ストアー」は、そういう情緒を感じられる吉野川支流のほとりに立つ。
高知県長岡郡大豊町大滝。この地で70年近くもの長きにわたり、食料品や雑貨、ガソリンや灯油などの生活必需品を販売してきた。

「私が学生のころは牛乳も配達していました。この辺りの人が必要なものは何でも手掛けていた感じですかねえ」
西村正江さん(70)が振り返る。父の育夫さんが始めた家業を引き継ぎ、今は夫の秀仁さん(71)と共に店を切り盛りしている。
正江さんが主に店番を務め、秀仁さんは灯油などを配達している。


西村さんの朝は早い。午前2時前には起床して、高知市内の卸売市場などに仕入れ向かう。
往復約100㎞もの道のり。すべての商品を自分の目で確かめ、時には味見も。
地元の人に好まれる商品を一つひとつ考えながら仕入れる。
帰宅するのは午前7時前。週4日はこんな日が続く。
取り扱う商品は幅広い。仕入れてきた果物やパン、お弁当、お惣菜のほかに日用品や衣料品など地域に必要なものを数多く揃える。
普通のコンビニには絶対に置いていない農業用の雑貨や野菜の種まである。

食料品や日用品だけではない。ガソリンスタンドも併設されている。
店頭販売はもちろんだが、灯油を各家庭に配達まで行っている。灯油と一緒に、店で販売している商品を届けることもあるそうだ。
地域住民にとってまさに必要不可欠な店舗であり、市街地のコンビニよりもコンビニエンスな存在なのだ。

ただ、西村さん夫妻には子供がおらず、後を継ぐ人がいない。
年齢が70歳を超えたこともあり、「まだ、少しは続けることができるけれど、早目に後のことを決めておきたい」と後継者を広く募ることに踏み切ったという。
土地は約850㎡ありガソリンスタンドを併設、店舗兼住宅が約270㎡ある。
これらの一括譲渡が希望だが、条件次第では賃貸の相談も受け付けるそう。

西村ストアーには、「商店」の他に別の顔がある。
地域の人々が集う「コミュニティーの場所」だ。
正江さんが仕事をするレジの前には、常に椅子が3、4脚ほど構えられており、住民が訪れては世間話に花を咲かせる。
商品の売買を超えた強固で深いつながりが築かれているのだ。

この商店が閉店したら、地域はいったいどんな事になるのだろう。
日々の生活に溶け込んで、当然のように関わり合っていた存在が、無くなってしまう。
恐らく、多くの人々の心の中にぽっかりと穴が開くのではないか。
山と共に生きる穏やかな日々を未来に繋げるためにも、この店を引き継ぐ新たな力を地域住民は求めている。
店舗情報
西村ストアー
住所:高知県長岡郡大豊町大滝931-4

経営は上手く行っているのに、後継者がいないために廃業せざるを得ない――そんな悩みを持つ企業が全国的に激増し、大きな社会問題になっている。
高齢化先進県である高知県は全国に輪をかけて、事業承継の課題が山積している。
「県内での事業承継を少しでも増やしたい」。このコーナーは、事業を譲りたい人と受け継ぎたい人を繋ぐ連載です。
高知県事業承継・引継ぎ支援センター
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担当:横山、野本













