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高知で繰り広げられる熱い闘いの「カシオワールドオープン ゴルフトーナメント」 と同時開催!12種類の自然体感&スポーツ体験イベントが実施されるぞ!
この情報は2024年12月11日時点の情報となります。
これまでたくさんの記事をご覧いただいている「高知家の〇〇」ですが、その中でも人気だった記事や、まだまだみなさんにご覧いただけていないおススメ記事を「Back To 高知家の○○」としてご紹介します!
今回は2020年11月4日にご紹介した、「高知ユナイテッド」の連載記事です。
(記事中の情報は2024年12月時点のものに更新しています)
これまでご愛読いただいている方も、初めて来たよという方も、是非お楽しみください!
選手たちが戦うピッチ。試合前に欠かせないピッチのライン引きをご紹介します。
高知ユナイテッドSC(高知U)では、高知市春野総合運動公園内で行われる公式戦、練習試合の前にはスタッフがライン引きを行っています。
今回の記事を書くにあたり、そもそも「ピッチ」、「フィールド」、「グラウンド」と様々な呼称があるけど違いは何なの?という疑問が。調べると「ピッチ」はイギリス英語で「競技場」を意味し、日本サッカー協会(JFA)ではゴールラインとタッチラインで囲まれた部分を「フィールド」または「ピッチ」と呼んでいます。「グラウンド」は競技場と練習場の意味も含まれて使われている感じかな?(なんとなく土のイメージもありますが)
【ピッチのサイズと用語】
※画像はJFA公式HPより
JFAが推奨するピッチサイズはゴールライン(縦)68m、タッチライン(横)105m。これだけで346メートルにもなります。
ペナルティエリア、ゴールエリア、センターサークルなどは、サッカーの試合中継でよく聞く用語で皆さんにも馴染みがあると思います。
さてライン引きの手順へ。
まずはライン塗料の準備から始めます。
ライン塗料は原料にタマゴの殻を利用した天然芝用のものを使用。タマゴの殻に含まれるカルシウムとアミノ酸が芝の育成に役立ちエコなのだそう。
ラインは晴れた日であれば1週間程度で自然に消えます。雨が続けば3日程度。
塗料原液を水で5倍に希釈しよく振って攪拌。希釈濃度によってラインの色の濃さが変わります。
塗料をラインカーのタンクに入れます。(塗料は修正液のような質感)
ピッチラインの幅は12㎝。メジャーを使ってラインカーのライン幅を12㎝に固定します。
ライン塗料の準備が整ったら、ピッチに移動。
あらかじめピッチサイズを測って目印をつけた場所に杭を打ち込みます。
杭にロープを結んで、ラインの端までロープを伸ばしていきます。
ロープを引いてしっかり伸ばします。(グイグイっと)
ピンと伸びたロープの先で杭を打ち込んで固定。
ロープは解けない様にしっかりと結びます。
ここでようやくラインカーの登場。一気にラインを引かずに、先に隅の部分(約1m)を先に引きます。
隅部分のラインがきれいに引けました。
ロープの内側に沿ってゆっくりラインを引いていきます。ロープに触れるか触れないかの絶妙なタッチでラインカーを走らせて行きます。集中力がモノをいうライン引きでは、二日酔いは厳禁だそうです。
ラインカーは電動式で、ハンドルに付いているボタンを押す一定圧力でライン塗料が噴霧される仕組みです。
ラインを引く順番は大まかに説明すると、
ラインの中でも一番気を遣うのは、観客席やテレビ中継で目に付きやすいピッチ中央の「ハーフウェーライン」。このラインがビシッと決まるとピッチ全体の印象が良くなります。(逆もまた然り)
センターサークル、ペナルティアークの曲線は、算数で使った「コンパス」と同じ原理で杭とロープを使いラインを引きます。センターマークとペナルティマークの中央を基準点に半径9.15mの円を描きます。
ではコーナーキックで使われるコーナーエリアの曲線はどのようにラインを引くのかというと・・・
じゃーん、コーナーエリアマーカー!
コーナーエリアのサイズに合わせたマーカーの曲線に沿ってラインを引くとコーナーエリアが完成します。このマーカーは高知で木工関係のお仕事をされている方に製作をお願いしているそうです。薄い板で出来たマーカーは使用していくうちに欠けていくので数年に一度は新調しているのだとか。
そして、このマーカーの中央に開けられた穴の理由は・・・
穴の上にラインカーを走らせると・・
センターマークとペナルティマークが完成!
他の競技で使用したラインを消したいとき、誤ったラインの修正が必要になった場合には、白ラインの上に緑のラインを引いて消していきます。塗料の色が違うだけでラインを引く手順は同じです。
緑塗料専用のラインカー
隠せた!(少し緑が濃いような)
ピッチ全体のライン引きに要する時間はスタッフ4~5人で2時間程度かかりました。
高知Uライン引きのリーダー長崎さんに話を伺いました。長崎さんはチームの元マネージャーです。
長崎「ラインを引き始めたのはアイゴッソ高知(現高知U)のマネージャーをしていたころです。以前は高知県サッカー協会の方がラインを引いていましたが、自分でも出来るようにならねばと思い、協会の方に教えていただきました。それから用語、サイズ、手順を覚えて一人で任されるようになるまで5年くらいかかりました。今後は僕も後継者を育てないといけません。」
皆さんの中には、試合開始前にスーツ姿の人たちと審判がピッチ内を歩き何かをチェックしている様子を見たことがあるかもしれません。あれは、マッチコミッショナー(※)、審判、チームの運営委員がピッチ全体(ライン、ゴールネットの穴あきの有無等)をチェックしているのです。彼らは特にラインを厳しくチェックします。あまりにラインがひどいと引き直しを指示されるのだとか!
※マッチコミッショナー:大会を主催する協会から派遣された試合の立会人
今後のサッカー観戦ではラインにも注目してみてくださいね!