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この情報は2024年8月4日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす高知県観光特使でもある、食いしんぼおじさんことマッキー牧元さんが高知の美味しいお店や生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、四万十市中村の天神橋商店街にある創業50年を超えるレトロ喫茶「珈琲館ひいらぎ」にお邪魔してきました。
最近、私は滅多にホテルで朝食をとらない。
各地で古くから愛されている喫茶店に行って、モーニングをいただく。
なぜなら、常連客たちに混ざってコーヒーを飲み、モーニングを食べていると、少しだけ地元に入り込んだ気がするからである。
ここ四万十市でも、天神街商店街にある喫茶店に向かった。
創業50数年になる、老舗格の喫茶店「ひいらぎ」である。
シャンデリア風ライトから照らされる、柔らかく黄色い灯の下で、木造家具が配された店内は、長く親しまれてきた客の愛着が染み付いていた。
振り子時計、客席の間を隔てる薔薇が刻み込まれたすりガラス、焦げ茶に塗ったサクラ材の壁や煉瓦壁、柱風衝立など、古き良き時代の時間が流れている。
朝一番で店に入ると、地元のおばあちゃんとおじいちゃん達がコーヒーを飲みながら、仲良く談笑していた。
モーニングは、三種類用意されていた。
トーストセット、ホットドッグセット、おむすびセットと、一見どこにでもある、普通のモーニングセットである。
だが運ばれてくると、この地域ながらの独自性があった。
トーストとホットドッグにも、味噌汁がついてくる。
その味噌汁の具は、麩と素麺と、ずいぶんと風変りな味噌汁である。
ホットドッグセットは、細いコッペパンを二つに切り分け、ひとつはハムときゅうり、レタスにマヨネーズが挟まれている。
もうひとつは、きゅうりにトマト、レタスにマヨネーズという布陣である。
名付ければ、ハムドッグに野菜ドッグか。
なにか、ほのぼのとした気持ちを運んでくるなあ。
おむすびセットは、塩気のない海苔を巻いた素おにぎりと、鮭フレークをかけたおにぎりに塩昆布と梅干し、きゅうりの漬物が添えられている。
トーストセットも運ばれた。
トーストに全面に塗られたバターが、レトロな照明の下で艶やかに輝いている。
単なるバタートーストも、こうした空間で食べると一味違う。
もうひとつ、違いがあるのは、トーストに砂糖がついていることだ。
これはこの店だけのことではなく、他の喫茶店でもトーストに砂糖がついてくる店があるのだ。
四万十市のある幡多地域は甘党文化で、料理にも砂糖をたくさん使う。
それぞれを食べながら、ゆっくりと時間を過ごした。
店は1978年に創業したというから、もう半世紀やられている。
「ひいらぎ」という店名は、どこからつけられたのですか?そう聞くと、
「皆さんから推薦されて店名をつけました」と、老主人が柔らかい声で答えられた。
「今は朝だけやっています。来月から13時までやろうと思っています。できればメニューも増やしていきたい」。
お手伝いされている娘さんが語った。
長年愛されてきた店だけに、漂う暖かさは、格別である。
それを感じながら、ゆっくりとモーニングをいただき、地元のお客さんたちの談笑を聞きながら、コーヒーをすする。
旅の贅沢とはこういうことではないだろうか。
葉にトゲがあることから、魔除として珍重されてきたヒイラギは、用心深さや保護、歓迎という花言葉があるという。
長年守られてきた、四万十の豊かな時間に歓迎されて、幸せが体に満ちていく。
また来よう。そう誓って、店に別れを告げた。
高知県四万十市中村天神橋40「珈琲館ひいらぎ」にて
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