高知家の◯◯高知家の◯◯ 高知県のあれこれまとめサイト
高知県のあれこれまとめサイト
  • facebook
  • x
  • instagram
  • youtube
 

【高知グルメPro】創業50年を超える四万十市天神橋商店街のレトロ喫茶モーニング「珈琲館ひいらぎ」食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2024年8月4日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす高知県観光特使でもある、食いしんぼおじさんことマッキー牧元さんが高知の美味しいお店や生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、四万十市中村の天神橋商店街にある創業50年を超えるレトロ喫茶「珈琲館ひいらぎ」にお邪魔してきました。

最近、私は滅多にホテルで朝食をとらない。

各地で古くから愛されている喫茶店に行って、モーニングをいただく。

なぜなら、常連客たちに混ざってコーヒーを飲み、モーニングを食べていると、少しだけ地元に入り込んだ気がするからである。

ここ四万十市でも、天神街商店街にある喫茶店に向かった。

創業50数年になる、老舗格の喫茶店「ひいらぎ」である。

シャンデリア風ライトから照らされる、柔らかく黄色い灯の下で、木造家具が配された店内は、長く親しまれてきた客の愛着が染み付いていた。

振り子時計、客席の間を隔てる薔薇が刻み込まれたすりガラス、焦げ茶に塗ったサクラ材の壁や煉瓦壁、柱風衝立など、古き良き時代の時間が流れている。

朝一番で店に入ると、地元のおばあちゃんとおじいちゃん達がコーヒーを飲みながら、仲良く談笑していた。

モーニングは、三種類用意されていた。

トーストセット、ホットドッグセット、おむすびセットと、一見どこにでもある、普通のモーニングセットである。

だが運ばれてくると、この地域ながらの独自性があった。

トーストとホットドッグにも、味噌汁がついてくる。

その味噌汁の具は、麩と素麺と、ずいぶんと風変りな味噌汁である。

ホットドッグセットは、細いコッペパンを二つに切り分け、ひとつはハムときゅうり、レタスにマヨネーズが挟まれている。

もうひとつは、きゅうりにトマト、レタスにマヨネーズという布陣である。

名付ければ、ハムドッグに野菜ドッグか。

なにか、ほのぼのとした気持ちを運んでくるなあ。

おむすびセットは、塩気のない海苔を巻いた素おにぎりと、鮭フレークをかけたおにぎりに塩昆布と梅干し、きゅうりの漬物が添えられている。

トーストセットも運ばれた。

トーストに全面に塗られたバターが、レトロな照明の下で艶やかに輝いている。

単なるバタートーストも、こうした空間で食べると一味違う。

もうひとつ、違いがあるのは、トーストに砂糖がついていることだ。

これはこの店だけのことではなく、他の喫茶店でもトーストに砂糖がついてくる店があるのだ。

四万十市のある幡多地域は甘党文化で、料理にも砂糖をたくさん使う。

それぞれを食べながら、ゆっくりと時間を過ごした。

店は1978年に創業したというから、もう半世紀やられている。

「ひいらぎ」という店名は、どこからつけられたのですか?そう聞くと、

「皆さんから推薦されて店名をつけました」と、老主人が柔らかい声で答えられた。

「今は朝だけやっています。来月から13時までやろうと思っています。できればメニューも増やしていきたい」。

お手伝いされている娘さんが語った。

長年愛されてきた店だけに、漂う暖かさは、格別である。

それを感じながら、ゆっくりとモーニングをいただき、地元のお客さんたちの談笑を聞きながら、コーヒーをすする。

旅の贅沢とはこういうことではないだろうか。

葉にトゲがあることから、魔除として珍重されてきたヒイラギは、用心深さや保護、歓迎という花言葉があるという。

長年守られてきた、四万十の豊かな時間に歓迎されて、幸せが体に満ちていく。

また来よう。そう誓って、店に別れを告げた。

高知県四万十市中村天神橋40「珈琲館ひいらぎ」にて

 

その他にも四万十市のグルメ&観光スポットをあちこち紹介した動画はコチラ↓