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【高知グルメPro】地元愛されイタリアンから人気の和食屋に夜の〆の屋台餃子までそろう「廿代町」のおススメグルメ6選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2019年6月9日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。
高知にも静かな夜はある。
この店に来た時、そんな言葉が浮かんで来た。
酒飲み天国高知では、どの居酒屋へ行っても賑やかである。
よく食べ、よく飲み、よく喋り、よく笑う。
どの店でも、美味しい賑わいに満ちていて、「それ飲めえ」とばかりに、背中を押される。
しかしここは違った。
高知市内にありながら、周囲に飲食店などなき場所で、ぽつねんと営業している。
「ヒナタ」という店名ながら「日陰」のような立地である。
店にはご主人一人、カウンター席は独酌客が多い。
皆静かに、酒をじっくり傾けながら、自分の時間と会話をしている。
酒のメニューを見れば、睡龍、久米桜、辨天娘、天隠、梅津、竹鶴など、日本酒好きが涎を垂らしそうな、甘口の銘酒がずらりと揃う。
この店では、これをすべて燗酒で出すのである。
わかってらっしゃる。
燗酒で飲んでうまくない酒は、いい酒ではない。
手書きされた黒板には、酒飲みのツボをつく、和洋の肴がずらりと並ぶ。
ううむ悩むなあ。嬉しい悩みである。
悩み抜いて頼んだ、「燻製鶏と純胡椒のポテトサラダ」は、胡椒の辛味が、ポテトの甘みを引き締め、「トマトのお浸し」は、そのつけ汁だけで、酒がグイグイと飲める。
鶏肝オイル漬けは、ねっとりと甘く、「入河内大根のポタージュ」は、心をじっとりと温める。
こうした肴を相手に、適温に燗がついた酒を飲む。
都会の汗が抜け、時間がゆっくりと過ぎてゆく。
何かこう、本当の自分を取り戻すような感があって、脳と心が沈静化していった。
そうかここは日陰ではない。
自分だけのひなたを見つける場所なのだ。
高知県高知市上町1丁目「サケとサカナ ヒナタ」にて