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【高知グルメ】土佐ジローを使った旨みたっぷり中華そば「中々。」ほっとこうちおすすめ情報
この情報は2021年5月16日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食おじさんマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、高知の「フレンチ居酒屋」とでもいうべき「Brasserie 一柳」を訪ねてきた。
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食いしん坊心に火がついた。
1日で7軒、それもご飯料理ばかり食べ歩いてきて満腹だというのに、店に入り、メニューを見た瞬間に点火した。
フランス料理好きなら、いや食いしん坊なら、いてもたってもいられなくなる料理がずらりと並んでいるせいである。
ここは、高知市内のフランス料理店「ブラッセリー一柳」である。
「落ち着いて」。
頭の中で冷静な自分が声をかけるが、無視をして、次々と頼んでしまう。
まず運ばれたのが、「ガルビイユ」である。
おお、高知で「ガルビイユ」に出会うとは思わなかった。
「ガルビイユ」とは、バスク地方の郷土料理で、いわゆる田舎風スープ。
生ハムの骨の出汁で、野菜類を煮込んだスープである。
さいの目に切られたセロリ、にんじん、玉葱、インゲンが、スープに気持ちよさそうに浸かっている。
緑色の液体は、ネギのジェノベーゼソースだという。
野菜類の優しい甘みが、食べ過ぎで疲れた、舌や食道、胃袋を優しく撫でる。
どこまでも平安である。
これでさらに食欲が動きだした。
お次は、ハモンセラーノ(生ハム)のポテトサラダときた。
温かいマッシュポテトにハムが混ぜられたサラダは、芋の芋たる甘みが全面に出ていて、ふくよかな気分にさせられる。
続いて「赤海老のマカロニグラタン」が運ばれた。
パン粉で覆われたこのグラタンのお姿、いいなあ。
パスタはペンネで、チーズとパン粉がかけられ、食べればホワイトソースの旨みに海老の甘みがうっすらと溶け込んでいて、なんともうまい。
次が、「ブーダンノワール(豚の血のソーセージ)とリンゴのタルトである。
ブーダンノワールとリンゴは相性が良く、定番の組み合わせだが、それをタルト仕立てにするとは、珍しい。
たべれば実にバランスが良く、ブーダンノワールの鉄分とリンゴの甘酸っぱさが美しく共鳴している。
そこへとろりと割り込む、アパレイユもいい。
付け合わせが、バルサミコとトリュフオイルで和えた紫キャベツのサラダという点も、センスが光っている。
次は誰もが好きな揚げ物、「ゴルゴンゾーラのコロッケ」である。
これもバランスの良さを感じるコロッケである。
ゴルゴンゾーラが出すぎることなく、弱めることなく、一口食べて一呼吸し、「おいしい」とつぶやいてしまう塩梅で、下に敷かれたレンズ豆やトマトソースと一緒に食べれば、なお旨い。
「鴨とフォアグラのパテドカンパーニュ」は、フォアグラの量が多くて、ワインが大至急恋しくなる。
練り肉とフォアグラの対比が良く、仕事の丁寧さを感じるパテドカンパーニュである。
そして主菜には、「豚スペアリブのバルサミコ煮込み」を選んだ。
威風堂々たる皿である。
食べればコラーゲンの甘みがてれんと舌に甘え、黒光りするソースの深いコクがスペアリブを持ち上げる。
ここで普段ならデザートとなるが、一度火がついた食欲暴走列車は止まらない。
「ベトナム風焼きそば」を頼んでしまった。
これまた良くできているのだな。
ニンニクと唐辛子の静かな利かせ方に品があり、ニョクマムの量もこれ以上でも以下でもない、ギリギリの線に抑えている。
それがまた、フォークを持つ手を加速させるのであった。
一柳博正シェフは、神戸などで修行し、高知で店を開いて7年目になると言う。
食材が素晴らしい高知が大好きで店を開かれた。
だが、高知に来てフレンチは難しいと思う。
そのため、気軽に一品でワインやビールを飲んで欲しいと思い、ブラッセリーという名をつけたのだろう。
いうなれば、フランス料理居酒屋である。
出かけたのは3月だったが、これから夏の魚ではカルパッチョなどを出し、秋、冬は高知の須崎漁港からその日届いた魚介で調理するという。
ああ、今度は冬に来たい。
トリュフ感が半端ない、トリュフのパルフェを食べながら、脂ののった魚の料理を前に、ワインをしたたかに飲む自分を夢想した。
高知県高知市はりまや町3丁目「Brasserie 一柳」にて