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【高知グルメPro】地元愛されイタリアンから人気の和食屋に夜の〆の屋台餃子までそろう「廿代町」のおススメグルメ6選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2018年7月15日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすタベアルキストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。
「シャキッ! パシュッ!」
生姜が弾けた。
「まだ生きているよ!」 と叫びつつ、生姜のジュースが口のなかにほとばしった。
こんなにもみずみずしい生姜を食べたのは、初めてである。
そう感想を述べると、生姜農家「りぐる」の高橋孝典さんは、恥ずかしそうな笑顔を浮かべられた。
高橋さんは、元々百合農家だった。
現在でも百合は作られている。
百合の作り方の教えを請う人が絶えないほど、全国でも有数の優秀な百合を作っているという。
しかし高橋さんは、生姜作りにも知恵と工夫を傾けた。
土壌の改良を重ね、土ごと発酵させて8年して、生姜を植えた。
収穫は通常、朝から昼にかけて行われるが、彼はまだ陽が上がらぬ4時ごろから収穫を始め、日の出前には終わる。
そうすることにより、たっぷりと水分を含んだ生姜が収穫できるからである。
睡眠時間を削り、暗いうちから収穫するのは相当の苦労だろう。
しかし、おいしい生姜を生み出すためには、苦労を厭わない。
それこそが、生き物に対する恩返しなのだろう。
流通も変えた。昔は四日目に店頭に並んでいたところを、早朝収穫、洗浄、梱包し、その日のうちに各店舗に届けることが可能になった。
生姜は、11月に種芋を植え始め。6月から7月上旬に収穫する。
「高知という土地ならではの、冬場の日光の強さがたくましい生姜を育てます」。
「新生姜はこうやって食べるのがうまい」という、高橋流新生姜料理をいただいた。
新生姜、キュウリ、ハムを薄切りにして、マヨネーズで和えたものである。
噛むと、前歯で生姜が「シャキッ」と音を立てる。
食感は、新鮮なセロリのようでもあり、生じゃがいものようでもある。
口の中で水分が弾け飛ぶが、辛くない。
爽やかな香りが鼻に抜け、そのあとしばらくしてから辛味がやってくる。
本来生姜とはこういうものなのだ。
今まで食べてきた生姜は、生姜の一夜干しではないかと思うほど、水分含有量が違う。爽快感が違う。
暑い時期に食べ、食道を引き締め、涼を通す。
これがこの新生姜の役目である。
新生姜を指でつかむと、指が濡れた。
しっとりとして、きれいな肌をしている。
これは生姜の少女なのだ。
みずみずしさと生きる勢いが伝わり、恵みの感謝を感じることができる生姜なのである。
農家の名前「りぐる」とは、高知弁で「物事を吟味する。深掘りする。工夫する」あるいは「かっこつける」という意味だという。
かっこつける。いいじゃないですが、高橋さんもっとカッコつけてください。
生姜の滋味を探り、土を吟味し、より良い生姜を作って、カッコつけてくださいね。
最後に聞いた。
「高橋さんにとって生姜とはなんですか?」
「“繋がり“です。生姜を、命を繋ぐために仕事として栽培したり、家族が繋がり、そして、普通なら絶対に繋がることの無い、様々な方ともお会いする機会ができたりと。なので僕にとって、生姜とは”繋がり“なんだと思います」。
そう言って、充足した、穏やかな笑顔を浮かべられた。