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「あんたは「中日」のうまさを知っちゅう?高知赤岡だけにある麺料理の実力」食べ歩きスト・マッキー牧元の高知満腹日記 その51

       

この情報は2019年5月12日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。

なんでこのアイデアが今までなかったのか?

食べた瞬間に思った。

単純な発想であり、手軽に実行に移せるアイデアである。

しかもうまいときている。

それなのに全国何処を探しても、おそらく同じものはない。

高知県赤岡の「とさを商店」で食べた「中日」である。

正式メニュー名は「後免けんか軍鶏中日」という。

問題はこの中日は何かということであるが、名古屋のことでなければ、「なかび」とも読まず、「ちゅうにち」と読む。

「中華」と「日本」の融合の略らしい。

つまりなにかというと。「中華ラーメンのスープをうどん出汁にしました」という料理なのである。

ねっ、簡単でしょ。

そんな奇異でもない。

突飛でもない。

頼めば澄んだスープに、軍鶏の角切りと海苔、かまぼこ、ネギ、揚げ玉が入れられ、中央に生卵が落とされている。

麺はというと中華麺が、透明なうどんスープの中でたゆたっていらっしゃる。

直ちに食べた。

既成概念を捨て、虚心坦懐に食べた。

「あり」。「これはあり」。

一口で確信である。

味がまるい。

優しい味の塩ラーメンを食べているかのようである。

初めて食べるのに、どこか懐かしさが漂う。

聞けば昭和25年くらいからあった。

元々麺は焼きそば麺を使っていた。

出汁は、じゃことカツオで、酒とみりん、醤油で、うっすらと味をつける。

工程は、出汁を温め、中華麺茹でる。

黄身と白身に分けて熱い出汁で白身をとき、麺を入れ、具をのせ、黄身投入して完成である。

店主いわく味のポイントは「ラーメンにはならんように、手を抜くのがポイント」だという。

つまり気合を入れ過ぎないということだな。

そんな力の抜け方がよく、食べてすぐに「うまいっ」と叫ばせない味の押さえ方が優しい。

まあなんと申しましょうか、頭のかゆいとこをヘルメットの上から掻く感じ、つまり隔靴掻痒の味なのである。

そんな味の中で、海苔の存在が光っている。

さらに終盤で黄身を割れば、雑炊風の味となった。

飲んだ後や、二日酔いにもいいだろう。

一緒にニラ卵焼きや、素揚げの油分と大根おろし爽やかが見事に出会う、ちりめんおこげを、カリカリザブザブやってもいい。

ああ、これは日常で食べたい。

なぜ他ではないのだろうか。

固定概念とは、強固である。

 

高知県香南市赤岡町「とさを商店」にて